アップル、脱iPhone依存に道筋 3四半期ぶり増収
サービス急拡大に摩擦も

2019/7/31 13:51
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【シリコンバレー=白石武志】米アップルが「iPhone」依存からの脱却に道筋をつけつつある。30日に発表した2019年4~6月期決算ではハードウエア部門の落ち込みをアプリ配信などのサービス部門の伸びで補い、3四半期ぶりに増収となった。ただ、音楽や映像配信などでの急速な事業拡大は、新たな摩擦も引き起こすようになっている。

データ保管や音楽配信が伸び、3四半期ぶりに増収になった(米カリフォルニア州サンタモニカのアップルストア)=AP

データ保管や音楽配信が伸び、3四半期ぶりに増収になった(米カリフォルニア州サンタモニカのアップルストア)=AP

「成長への回帰を報告できることに興奮している」。中国景気の減速で17年ぶりに業績予想を下方修正し、世界の株式市場を揺さぶった1月2日の「アップル・ショック」から約7カ月。7月30日の電話会見でティム・クック最高経営責任者(CEO)は低迷期を脱したことを宣言した。

売上高の減少傾向が続くiPhoneに代わってけん引役となったのは、アプリ配信やクラウドを使ったデータ保管、音楽配信などのサービス部門だ。同部門の売上高は4~6月期に13%増の114億5500万ドル(約1兆2400億円)となり、全体に占める比率は初めて2割を突破した。

アップルは3月に月額9.99ドルのニュース配信サービスを米国などで始めたのに続き、秋には独自の動画やゲームの配信にも乗り出す。30日発表した決算では19年4~6月期に4億2000万件を突破したサブスクリプション(継続課金)サービスの契約数が、20年中に5億件を突破するとの見通しも示した。

ただ、急成長は既存プレーヤーからの反発を招くきっかけにもなっている。急先鋒(せんぽう)となっているのが音楽配信最大手、スポティファイ・テクノロジー(スウェーデン)のダニエル・エクCEOだ。3月、アップルが公正な競争を阻害しているとして、欧州連合(EU)の欧州委員会に調査するように訴えを起こした。

両社とも基本プランの月額料金は9.99ドルだが、スポティファイはアップルの決済サービスを使った場合に15~30%の手数料を払っており、コスト面での不利を強いられているという。エクCEOはアプリ配信基盤の運営者がサービス分野に進出することについて「理論上は問題ない」としつつも、「アップルの場合、自分たちに常に不公平な優位性を与え続けている」と主張する。

米グーグルのスマートフォン向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」が様々な手法でのアプリの配布を認めているのと対照的に、アップルは「iOS」上での第三者によるアプリ配信を認めていない。あらゆるアプリはアップルの審査を通らなければ配信できず、一部の米消費者の間ではアプリの価格が高止まりする要因になっているとの批判がある。

7月下旬には米司法省が米ネット大手に対し、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反がないかの調査に乗り出すと発表しており、アップルも対象となる見込み。20年の米大統領選で米ネット大手の分割を公約に掲げて民主党候補の指名を争うウォーレン上院議員はアップルのアプリ配信サービスを分離すべきだと主張している。

クックCEOは30日の電話会見では米国内外の独禁当局などの動きには触れなかったものの、「アプリ開発者が大きな利益を得ることができるダイナミックな環境をつくったのは我々だ」と強調した。ただ、仮にiOS上で自由なアプリ流通を迫られた場合、アップルによる審査は行き届かなくなる。プライバシー保護などを前面に打ち出すiPhoneのブランド戦略の根幹が揺らぐ恐れもある。

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