ファーウェイ、逆風下の増収 米制裁の影響は年末以降
1~6月の売上高23%増

2019/7/30 22:45
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ファーウェイのスマホ販売は中国で伸びている(30日、広東省広州市)

ファーウェイのスマホ販売は中国で伸びている(30日、広東省広州市)

【深圳=川上尚志】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が米国からの制裁を受ける中でも事業を拡大している。30日に発表した2019年1~6月期の売上高は、前年同期比23%増の4013億元(約6兆3000億円)だった。5月からの米国による制裁の影響はまだ軽微で、むしろ中国でのスマートフォンや次世代高速通信「5G」関連の通信機器の販売増が目立ち、業績が拡大した。制裁の影響が本格化するのは年末以降との見方がある。

「売上高は5月まで急速に伸び、(米国による事実上の禁輸対象企業を並べた5月の)エンティティー・リストに追加されて以降も成長を維持した」

中国南部の広東省深圳市の本社で開かれた決算会見。経営ナンバー2の梁華会長は逆風下での好決算に胸を張った。

米商務省がファーウェイに対する事実上の輸出禁止措置を発動したのは5月15日。ファーウェイは米企業との取引を禁じられ、主力の通信機器やスマホに搭載するソフトウエアや半導体の調達が制限された。その結果、同社の経営には大きなダメージを与えるとの見方が大勢を占めた。

ファーウェイの任正非・最高経営責任者(CEO)も6月中旬、同社のスマホ販売の約半分を占める海外販売(約1億台)について「(今期は前年比で)4割ほど減る」と弱気で、年間約4000万台にのぼる大規模な出荷減を示唆した。

だが、今回の1~6月期の業績を見ると、米制裁の影響はまだ軽微だ。同期のスマホ販売は1億1800万台と前年同期に比べ24%の増加。特に中国販売は急増している。米制裁を受け「むしろ、中国の消費者の間で同社製のスマホを買う動きが広がった」(広東省の販売店担当者)という。

米調査会社カナリスによると、中国のスマホ出荷に占めるファーウェイの4~6月期のシェアは38%。1~3月期から4ポイントも伸び過去最高で「米制裁は中国市場でのファーウェイの成長をむしろ加速させた」(カナリス)。主力の通信機器も5G関連での受注が中国のほか欧州で伸び、世界の主要通信事業者50社と5Gで契約を結び、15万超の基地局を出荷し、売上増に貢献したという。

ただ業績の好調はそれだけでは説明できない。米国による禁輸措置の効果が限定的で、「制裁が実際にファーウェイにそれほど影響を与えていない」(ファーウェイの取引先の部品メーカー)との見方が多いためだ。

米商務省の禁輸措置では、あるメーカーがファーウェイに対して製品を出荷しようとする場合、その製品全体に占める米国由来の技術が金額ベースで25%超なら禁輸対象になるとされる。これに照らせば、米企業の取引はほぼ大半が該当するはず。だが実際には、そうはなっていない。

実際、米半導体大手のマイクロン・テクノロジーも「一部の出荷は合法的に再開できる」とし、一時止めていたファーウェイへの出荷を6月に再開した。詳しい理由は明らかにしていないが、「米企業であっても米国外で生産した製品は、制裁の対象にならないとの解釈もできる」(業界関係者)などと主張しているという。米半導体大手インテルも同様の解釈で、ファーウェイへの供給を継続しているようだ。

半導体設計大手の英アーム・ホールディングスも「米国の規制を順守する」といったんは表明したが、実際は大半の取引を続けているという。

さらに日本、台湾など多くのファーウェイの取引先も、米禁輸措置の発動後に部品の出荷を一時見合わせたが、その後「25%ルール」には違反はしていないとの解釈を持ち出し、供給を再開するに至っている。

米国が科す25%ルールを巡っては、米国企業の半導体製造装置による製造の貢献分を「米国由来」の技術として、数値算入するかしないかで判断が分かれる。だが、各社は数値算入しないことで、米制裁の対象から逃れているのが現状だ。

ファーウェイの2019年1~6月期の業績は中国でのスマホ販売が好調で増収になった(6月、上海での展示会)

ファーウェイの2019年1~6月期の業績は中国でのスマホ販売が好調で増収になった(6月、上海での展示会)

だがそれでもやはり今後のファーウェイの業績は、年末に向けて減速するとの見方が一般的だ。

最大の障壁はファーウェイのスマホに基本ソフト(OS)「アンドロイド」を提供する米グーグルの対応だ。現在は米国による一部例外措置の適用で、8月下旬まではグーグルはファーウェイにOSの提供は可能だ。だがそれ以降は未定。仮にファーウェイが多くの部品を米企業などから調達しスマホが作れても、最終的に同OSが搭載できなければ、少なくとも同OS上で動くアプリに慣れ親しんだ海外では販売が激減し、業績へのダメージは必至。ファーウェイが抱える在庫も年内いっぱいともいわれ、年末からの業績悪化を懸念する声が業界で相次ぐ。

30日に中国・上海で再開した米中閣僚級の貿易協議ではファーウェイの制裁緩和も主な議題となったもようだが、先行きは極めて不透明だ。

30日の決算会見で今後の見通しについては「自信がある」とだけ述べた梁会長。戦略の詳細は避けつつ「目の前の困難や課題は一時的なものに過ぎず、試練を乗り越えれば、またファーウェイは新たな成長期を迎えることでしょう」と語り、締めくくった。

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