2019年8月22日(木)

大阪市、学テ最下位ほぼ脱出 独自テストで校長評価も

関西
2019/7/31 17:00
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文部科学省が31日に公表した2019年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、大阪市は小学6年の国語を除き、全20政令市の最下位から脱出した。小6算数以外で最下位だった17~18年度より改善したが、全国平均は下回る。市は独自テストの結果を校長の人事評価に反映することで教育現場のテコ入れを図る方針だが、専門家には賛否両論がある。

「非常に大きな成果だ」。3月まで大阪市長だった吉村洋文大阪府知事は31日、大阪市の結果を前向きに受け止めた。「教育委員会や各学校の指導主事などが(児童生徒の)弱い部分を分析しながら改善に向けたサポートに知恵を出した」と改善の要因を分析した。

ただ、大阪市の平均正答率は中3の国語や数学で全国平均より3ポイント低かった。小6の国語は全国平均を6ポイント下回り、名古屋市と並んで政令市で最下位だった。

大阪府は小中の国語や中学数学で全国平均より2~4ポイント低かった。全国的に見れば、政令市の正答率は所在道府県より高いところが目立つが、大阪市は中3国語以外で府を下回った。

政令市別の結果が公表されるようになったのは17年度。大阪市は17、18年度でいずれも小6算数を除く全科目で最下位だった。この結果を受け、当時の吉村市長は18年8月、学テの成績に数値目標を設け、結果を教員の給与や人事評価に反映させる方針を表明した。

全国学力テストに臨む中学3年生(4月、大阪府内の中学校)

全国学力テストに臨む中学3年生(4月、大阪府内の中学校)

ただ、学テの結果には家庭や経済力の差といった教員の指導力以外の要因もあるとされ、市は公正な人事評価を定めた地方公務員法に抵触する恐れがあると判断。19年1月に教員評価への反映を断念した。文科省も「人事評価への活用は想定しておらず、過度な競争を招く」と懸念していた。

代案として市は学テとは別に、以前から実施している市の学力経年調査(小学3~6年対象)と府のチャレンジテスト(中学1~3年対象)を活用する方向で検討を進めている。

学テは対象が小6と中3のみで、試験を受ける児童生徒が毎年変わるため前年度と単純に比べられない。一方、市や府の独自テストは毎年実施しているため成績の比較がしやすい。市によると、各小中学校が前年度からどの程度結果を伸ばすか数値目標を設定。校長の評価のうち20%分は目標の達成度に応じて決め、昇給やボーナスに反映させる仕組みを20年度にも導入する方向で考えている。

神戸大の西村和雄特命教授(経済学)は「指導力を上げるきっかけになる」と評価する。地域性や子供の能力などを考慮しつつ継続的に分析する難しさはあるというが「従来の制度では学校の努力や授業での工夫を十分に評価できていなかった」と期待する。

一方、学校現場からは不満の声も上がる。ある大阪市立中の校長は「生徒指導や部活動など仕事は多岐にわたる。学力ばかりに目を向けられないのが現状なのに、給与に差が出るのはいかがなものか」と憤る。

横浜国立大の森本信也名誉教授(教育学)は「テストの点数だけで人事評価をすると、高い給与を求めてテスト対策重視の授業ばかりするようになり、学力に課題のある子供を排除するリスクがある」と指摘する。「子供との信頼関係も損なわれかねない。テスト結果を活用するのは授業の見直しにとどめるべきだ」と話している。

吉村前市長「夏の賞与返上」 小6国語の最下位で

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を巡り、吉村洋文大阪府知事(前大阪市長)は31日、大阪市が小学6年の国語で全政令市の最下位だったことを受け、自身の夏の賞与を全額返上する考えを示した。大阪市長だった2018年8月、19年のテストで市が政令市の最下位を脱しなければ賞与を返上すると述べていた。

吉村氏は「小学校の国語は同率だが最下位という認識。約束したことは守るし、前言撤回はしない」と述べた。東日本大震災などの被災地に寄付することなどを検討しているという。

一方、大阪市の松井一郎市長は「賞与返上は子どもたちにプレッシャーを与える」と吉村氏に慎重な対応を求めた。

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