英ポンド大幅安 「合意なき離脱」意識 利下げ観測も
一時2年4カ月ぶり安値

2019/7/30 15:19
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【ロンドン=篠崎健太】外国為替市場で英ポンドに下落圧力が強まっている。30日には一時2年4カ月ぶりの安値をつけた。ジョンソン新政権が欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」も辞さない強硬ぶりを全開にし、景気の先行き不透明感が強まっている。英イングランド銀行(中央銀行)が遠からず利下げに転じるとの観測もあるが、通貨安は物価高を誘発するだけに、難しい金融政策運営を迫られる。

英中銀は「緩やかな利上げ」を進めてきたが…(ロンドンの本店)=ロイター

30日の外為市場でポンドは一時1ポンド=1.21ドル台前半と、対ドルで2017年3月以来の安値水準をつけた。対ユーロでは1ユーロ=0.91ポンド台と、17年9月以来のポンド安になった。

29日の市場ではポンド安を起点に、幅広い通貨に対するドル高につながった。米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に様子見の気分が強まったのも要因で、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)に大幅な利下げを求める発言をしてもドル売りは限られた。

こうしたなか、外為市場参加者の関心はポンドに集まった。米バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのジョン・ベリス氏は「新政権が強硬離脱への備えを意図して訴えるなか、市場はその可能性を再び織り込みにかかっている」とみている。

仮に合意なき離脱になれば、ポンドは急落する可能性が高い。EUからの輸入品の関税上乗せも重なり、物価の上昇に弾みがつくとみられる。イングランド銀は景気の下支えを重視して利下げを検討する可能性もあるが、インフレ率を落ち着かせるためには逆に利上げが求められることになり、ジレンマを抱える。

イングランド銀は8月1日に金融政策委員会の結果を発表する。17年11月に利上げに転じ、18年8月に追加利上げで政策金利を年0.75%とした後は「緩やかかつ限定的な引き締めが適当」との構えをとってきた。

市場は今回は政策の現状維持を確実視する一方、当面の引き締め棚上げや転換を示すシグナルを発するかを注視する。

英バークレイズのファブリス・モンターニュ氏は「政策姿勢を(緩やかな引き締めから)中立に変える」と予想する。EU離脱をめぐる視界不良度が強まっているうえ、世界景気の鈍りも利上げを正当化しにくくなってきたとの見立てからだ。仮に10月末に合意なき離脱になれば「年末までに少なくとも0.5%の利下げ」とみている。

債券市場では将来の利下げを織り込むように、英国債利回りの低下(債券価格は上昇)が進む。10年債は0.6%台前半と、政策金利より0.1%以上低い。将来の政策金利の予想を反映するポンドの翌日物金利スワップ(OIS)をみると、7月に入り、期間1年以上の取引で利下げ予想が広がってきた。

英景気悪化の懸念も利下げ観測を誘う。英国立経済社会研究所(NIESR)は22日に公表した報告書で、英経済は7~9月期に2期連続で経済成長率が前期比マイナスになる「景気後退」の確率が25%あるとの見解を示した。

イングランド銀は景気の堅調さを背景に物価上昇の圧力を強調してきたが、雲行きは怪しい。テンレイロ政策委員は7月上旬の講演で「世界経済の見通しの弱まりも相まって、利上げに賛成するほど十分なインフレ圧力が起きるまでの期間は長引きそうだ」と語った。

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