トランプ氏「人種差別」発言止まらず 白人票に固執

2019/7/30 15:06
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【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領が「人種差別」と解釈されかねない発言を繰り返している。非白人の女性議員に「国に帰っては」と促したのに続き、29日には著名な公民権活動家に対して「彼は白人や警官を憎んでいる」と非難した。2020年の大統領選に向けて白人層の支持固めを優先している。野党の民主党は猛反発しており、米社会の分断に歯止めがかからない。

トランプ米大統領はマイノリティーへの支持基盤拡大を目指す動きに乏しい(29日、ワシントン)=AP

「困窮する人々のために何もなし遂げていない。悲しいことだ!」。トランプ氏は29日、メリーランド州ボルティモアを地盤とする黒人のイライジャ・カミングス下院議員をツイッターでこう非難した。27日にも「(ボルティモアは)ネズミがはびこり、吐き気がするとんでもない場所だ」と中傷した。カミングス氏はロシア疑惑などでトランプ氏を厳しく追及するベテラン議員だ。

トランプ氏は、カミングス氏を擁護するため29日にボルティモアで記者会見を開いた公民権活動家のアル・シャープトン師に対しても「ペテン師で問題ばかりを起こす人物だ」と批判した。シャープトン師は「黒人代表」として04年の大統領選に出馬した著名人。同師に対する批判は、マイノリティーからの一層の反発を招きかねない。

トランプ氏は白人の支持基盤を固めようと躍起になっている。米メディアによると、複数のトランプ氏側近は人種差別的な発言でさえも同氏の支持基盤である白人労働者から共感を得ていると結論づけている。ロイター通信によると、トランプ氏の支持率は7月下旬に共和党員に限ると81%と高水準を維持している。

トランプ氏はマイノリティー層に支持基盤を広げるのではなく、白人層の求心力を高めることを優先する。マイノリティー層の投票率は低水準にとどまる傾向があり、支持を失っても、白人層の投票率を上げれば大統領再選につながると判断している節がある。米社会の分断をあおって僅差で勝利した16年の大統領選と同じ戦略だ。

民主党はトランプ氏に反発する。大統領選に名乗りを上げているバイデン前副大統領は29日、ツイッターで「トランプ氏が大統領職を利用し、国民に対して人種差別的な攻撃を仕掛けている事実は軽蔑すべきことだ」と非難した。

ペロシ下院議長も「カミングス氏に対する全ての人種差別的な批判を受け入れない」と強調した。民主党が30~31日に開く大統領選の候補指名争いに向けた討論会でも人種問題は争点の一つになりそうだ。

過度な人種差別的発言には、政権内でもトランプ氏に苦言を呈する向きがある。米メディアによると、トランプ氏が7月中旬に開いた集会で支持者が非白人の女性議員を「国に送還すべきだ」との掛け声を繰り返したことについて、ペンス副大統領や長女イバンカ大統領補佐官が好ましくないとの考えをトランプ氏に伝えたという。

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