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広がるESG投資、銘柄選択に課題(海外投信事情)

2019/8/1 12:00
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英個人投資家の間でESG(環境・社会・企業統治)を重視する企業への投資が広がっている。倫理的・道徳的な課題に積極的に取り組む企業に投資する「エシカルファンド」は、4月に月間の資金流入超過額の過去最高を記録し、5月の流入超過額も高水準を維持。環境や社会などに配慮したESG関連ファンドの設定も相次いでいる。一方、ESG投資熱の高まりとともに、銘柄選択の課題が改めて意識されている。

■ESG評価にはバイアスや遅効性も

英国投資協会(IA)によると、エシカルファンドへの資金流入超過額は4月が1億7800万ポンド(約240億円)、5月が1億7400万ポンド(約235億円)に達した。2カ月の合計は3億5200万ポンドと、四半期ベースで最高だった2017年7~9月期(3億9000万ポンド)に迫る。英個人投資家は英国株に投資するファンドを5月に2年1カ月ぶりに買い越しており、自国株への資金回帰も追い風になったようだ。

資金流入が急激に増えると、投資対象となる株式の価格が上がってしまうなど、ファンドの運用は難しくなる。しかもESG投資は銘柄選択において企業自身の開示情報への依存が高く、もともと投資対象が偏りやすいという実情がある。

例えば、ESG投資で活用されるESG評価会社のスコアやレーティング。投資家向け広報(IR)機能が充実している大企業ほど高くなる「株式時価総額バイアス」、成熟した業界ほど評価されやすい「産業バイアス」、ESGに取り組んでも評価を得るまでに時間を要する「遅効性」が生じやすいといわれる。

■AI活用も「足で稼ぐ運用」不可欠

ESG投資は対象企業の財務情報とESG情報を総合的に評価する「ESGインテグレーション」という手法がトレンドだ。運用会社は評価情報に加え、独自に「機械学習やデータサイエンティストを活用して開示情報を分析している」(ノルディア・アセット・マネジメントのヒルデ・ジェンセン氏)がいずれにしても企業の情報開示が投資判断を左右する。

中小型株に分類される企業は、規模が大きい企業と比べてIRの体制が整っておらず、情報発信のスピードや内容が不十分な場合が多い。評価会社の活用や単純なESG分析だけでは「中小型株の銘柄選択に悪影響を及ぼす」(ESG運用大手の英ハーミーズ・インベストメント・マネジメント)場合もあるという。

そこで、企業の「変化」を見極める手段として求められているのが「企業との直接対話」(ハーミーズ)だ。人工知能(AI)などの活用によって大量のデータを短期間で取得・分析することが可能になった半面、過度の依存は有望株の見逃しにつながる。ESG投資熱を単なる流行に終わらせないためにも「足で稼ぐ運用」(欧州系ファンドマネジャー)が欠かせない。

(QUICK資産運用研究所ロンドン 荒木朋)

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