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ファイザー、後発薬を同業大手と統合 新薬に集中

【ニューヨーク=西邨紘子】米製薬大手ファイザーは29日、特許切れ医薬品事業を分社し、後発医薬品大手のマイランと統合させると発表した。統合新会社の売上高は後発薬分野で世界最大手のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズに並ぶ。後発薬は米国での値下げ圧力の高まりなどから事業環境が厳しさを増しており、ファイザーは切り離しで新薬・ワクチン事業に集中する。2020年半ばの手続き完了を見込む。

ファイザーの後発薬事業には、過去に最主力薬として売り上げを支えた脂質異常症薬「リピトール」や男性むけ性機能改善薬「バイアグラ」が含まれる。マイランはアレルギーのショック症状を緩和する「エピペン」などを持つ。

新会社の20年12月期の予想売上高は190億~200億ドル(約2兆~2兆1000億円)としており、業界最大手のテバ(18年12月期の売上高は189億ドル)を超える見通しだ。新会社の売上高は先進国市場が5割強、アジアを含む新興市場が4割強となる。23年までに年間10億ドル規模のコスト圧縮効果が見込めるとしている。

統合では株主の税負担を避けられる「リバース・モリス・トラスト」と呼ばれる手法を使う。ファイザー株主は新会社の株式の57%を、マイランの株主が43%を保有する。新会社名は未定。本社は米デラウェア州に置き、ペンシルベニア州ピッツバーグと中国・上海、インドのハイデラバードにグローバル拠点を構える。マイランの会長が新会社の会長を務め、ファイザーの同部門のトップが最高経営責任者(CEO)に就く。

医薬品業界ではがん治療などの新薬の開発競争が過熱している。ファイザーは18年末、一般用医薬品(大衆薬)事業についても、英グラクソ・スミスクラインとの統合を決めている。ファイザーのアルバート・ブーラCEOは、後発薬事業の切り離しで「研究開発に投資する財政的な柔軟性を維持しつつ、革新的医薬品事業により焦点を絞り込める」と説明した。

ファイザーが29日発表した19年4~6月期の決算では、後発薬事業の売上高は前年同期比11%減の28億700万ドルだった。競争激化や自治体との割引き契約により、米国での売上高が9%減、中国が2割減と落ち込んだ。

4~6月期の全体の業績は、売上高が前年同期比2%減の132億6400万ドル。主力のバイオ処方薬事業は2%増収だったが、後発薬事業の不振やドル高による売上高の目減りを補えなかった。税関連の特別収入により、純利益は前年同期3割増の50億4600万ドルとなった。

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