懲戒権見直しへ議論開始 法制審部会、嫡出推定も
親権者に必要な範囲で子どもを戒めることを認めている民法の「懲戒権」と、無戸籍者の主要因となっている民法の「嫡出推定」の見直しを議論する法制審議会の部会が29日、初会合を開いた。部会には、有識者らでつくる法務省の研究会が23日付で公表した見直し案が、参考資料として提出された。
「しつけ」名目の虐待が相次ぐ中、親の体罰を禁止する改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が6月に成立。施行後2年をめどに懲戒権の在り方を検討するとしている。
研究会案は(1)規定を削除(2)「懲戒」の文言の変更(3)許されない範囲の明確化――の三つの考え方を提示。このうち削除案では、正当なしつけもできなくなるとの意見に配慮する必要があるとした。
文言変更案は、懲戒権を「しつけ」などに変えるものだが、効果に疑問も出ている。範囲の明確化案は、体罰禁止などを明記するものだが、精神的虐待の防止への検討も求められるとした。
嫡出推定は、女性が結婚後200日経過後、または離婚して300日以内に出産した子どもは夫や前夫の子とみなす規定。研究会は離婚後300日以内でも、女性がその時点で再婚していれば、夫の子とみなす案を示し、離婚時に妊娠している女性の再婚禁止期間は不要になるとした。〔共同〕