かんぽ、株売却前に苦情把握 不適切販売問題で報告

2019/7/29 21:13
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かんぽ生命保険は29日、政府の郵政民営化委員会に不適切販売問題を報告した。4月に同社株を日本郵政が売り出す段階で「個別の苦情は把握していた」と説明した。民営化委の岩田一政委員長は会合後の記者会見で「速やかに公表すべきだった」と問題視した。一連の問題について「郵便局への信頼を裏切って遺憾。民営化にもマイナスだ」と厳しく非難した。

かんぽ生命株は4月に売りだされ、日本郵政の持ち分は89%から64%に下がった。1株2375円で売り出したが、その後の相次ぐ不適切販売の発覚などで29日終値は1797円まで下がっている。同社株は東証1部に上場しており、個人株主を含め幅広い投資家に影響が出たとみられる。

29日の民営化委で委員から「4月に株を売り出す際に不適切販売を把握していたか」と問われ、かんぽ生命の担当者は「個別の苦情は把握していたが量まで把握していなかった」と答えた。岩田氏は個別事案であっても問題を知りながら株式を売り出したことは「問題がある」と指摘した。「契約者に不利益が生じた事案は速やかに公表すべきだ」と苦言を呈した。

不適切販売を認識した時期についてかんぽ生命の植平光彦社長は10日の記者会見で「4月の売り出しのタイミングで問題を認識していなかった」と主張した。こうしたかんぽ側の従来の主張との整合性が問われる。

同社は顧客に無断で契約書類を偽造するなどの保険業法違反を2018年度だけでも金融庁に22件を届け出ている。不適切な販売どころか、法令違反も以前から認識していたとみられるが、日本郵便を含めて抜本的な対策をとってこなかった。岩田氏は「契約数よりも利用者の満足度を高めてほしい」と述べ、ノルマ偏重の営業体制の転換を求めた。

日本郵政グループをめぐっては、政府がかんぽ生命の親会社である日本郵政株の売却も計画している。4月に持ち分を57%から郵政民営化法が定める下限の「3分の1超」に下げると発表し、5月には主幹事証券を選んだ。市場では「消費増税前の9月に売り出すのでは」との予想が多かったが、不適切販売の発覚で「秋の実施は難しくなった」との声も出ている。

岩田氏は一連の問題が政府の郵政株の売却時期に与える影響について明言を避けたが「もちろん民営化にとってマイナスの材料だ」と述べた。

郵政グループの経営陣の責任に関しては「マーケットが評価しない経営をしているとすれば問題がある」と指摘した。

かんぽ生命の担当者は民営化委で、18~20年度の中期経営計画について「必要があればグループ内で見直しの議論をする」と発言した。かんぽ生命と日本郵便は当面は既存顧客への説明や意向確認に専念するため、営業を自粛する。業績への打撃も大きくなる。

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