2019年9月22日(日)

プーチン政権に逆風強まる 抗議運動で1400人拘束
9月の統一地方選へ与党苦戦 5年後の体制移行に難題

2019/7/29 18:10
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24日、サンクトペテルブルクでプーチン大統領の写真に「もう飽きた」と書いたプラカードを掲げるるデモ参加者=AP

24日、サンクトペテルブルクでプーチン大統領の写真に「もう飽きた」と書いたプラカードを掲げるるデモ参加者=AP

【モスクワ=石川陽平】ロシアでプーチン政権への逆風が強まっている。与党・統一ロシアへの支持急落が深刻で9月の統一地方選での苦戦が予想されるほか、モスクワでは27日に反体制派野党による抗議デモで約1400人が当局に拘束された。このままではロシア内政の最大の課題である2024年のプーチン大統領の退任に伴う体制移行が、危うくなりかねない。

反体制派の野党勢力は27日、モスクワ中心部で無許可のまま抗議集会を呼びかけた。これを阻もうとした警官隊に野党活動家や支持者が多数拘束された。大規模な集会は阻止されたものの、最大で1万人程度が抗議運動に参加したとみられ、人権擁護組織は1400人近くが拘束されたと発表した。2010年代前半の「反プーチン運動」が収束して以降、最大規模の拘束者数になった。

ロシアの野党は、下院に議席を持つ共産党など体制内野党と、プーチン政権と対立する反体制派野党の2種類ある。

今回のデモは反体制派野党の活動家が、9月8日のモスクワ市議会選への立候補に必要な署名の不備を理由に候補者登録を受理されなかったことに抗議して起きた。集会を呼びかけたアレクセイ・ナワリニー氏ら多数の反体制派野党の指導者が集会前に拘束された。

大都市ではリベラル層が多く、プーチン政権への反発が特に強い。北西部のサンクトペテルブルクでも24日、統一地方選での市長選を巡って同様の抗議デモが起きた。

欧米でもモスクワで多数の拘束者が出たことに懸念が広がる。欧州連合(EU)は27日「平和的な抗議運動参加者への不適切な力の行使」と非難する声明を出した。

反体制派野党を排除する背景には、統一地方選を前にプーチン政権が与党・統一ロシアへの支持低下に危機感を強めていることがある。全ロシア世論調査センターが7月「次の日曜日に議会選があった場合にどの政党に投票するか」を聞いたところ、統一ロシアに投票すると答えた人の割合は33%にとどまった。

統一ロシアに投票するとの回答は、18年春まではほぼ50%台を保っていたが、同年6月に政府が年金受給年齢の引き上げを発表すると急落した。プーチン氏は不人気の与党とは距離を置き、60%台後半の支持率を保つが、党首・メドベージェフ首相の支持率は30%台に沈む。

統一ロシアは下院で約4分の3の議席を占めるが、年金改革の不評で政権の支持地盤である地方の保守層でも不満が広がっている。9月の統一地方選では各地の議会選で過半数を割り込み、重要な首長ポストを失いかねない。

統一ロシアの支持急落は、24年のプーチン氏の退任後の体制移行にも深刻な影響を及ぼしかねない。3選禁止の憲法の規定に従い、プーチン氏は24年の任期切れに伴う大統領選には再出馬しない考えを示している。

内政に不安を抱くプーチン政権内では体制移行をにらんで、早くも下院の権限強化など法改正を探る動きが浮上している。専門家の間では、新体制でもプーチン氏が権力を維持するとの見方が多く、下院議長が受け皿の一つになる可能性も指摘されていた。

下院は18日、日本経済新聞の取材に対し、下院の専門家調査に「議会による監督機能実現のモデル」など2つのテーマが加わったと明らかにした。直前にウォロジン下院議長が下院による政府への監督強化や閣僚選出への参加を認める憲法改正を提唱する論文を発表したのと符合する。実現すれば、24年に大統領を退任したプーチン氏が下院を率いる場合も権力を維持できる。

米ブルームバーグ通信はこのほど、政権内で下院の選挙制度の変更が検討されていると伝えた。現在は比例代表と小選挙区で議席を半分ずつ選ぶが、次の下院選では小選挙区を4分の3に増やす内容という。組織票が多い与党が有利となり、プーチン氏は体制移行まで憲法改正の実施も含め安定した議会運営を進めることが可能になる。

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