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業績ニュース

日立、遠い「利益率10%」 上場子会社の再編迫る声
4~6月営業6%どまり

企業決算
2019/7/29 22:50
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日立製作所が29日発表した2019年4~6月期の連結営業利益(国際会計基準)は1243億円と前年同期比16%減った。景気減速で日立金属などの上場子会社4社がいずれも減益となり、あらゆるモノがネットにつながるIoTなどIT(情報技術)部門では補えなかった。売上高営業利益率も6%台にとどまる。独シーメンスなど重電大手や世界のIT大手との競争が厳しくなるなか、3年後の利益率10%に向け、一段の構造改革が必要になりそうだ。

「(中国の景気減速で)日立金属などの素材や半導体、自動車関連が大きく減った」。同日会見した西山光秋・最高財務責任者(CFO)は厳しい表情を浮かべ、4~6月期をふり返った。売上高は2兆325億円と6%減少し、営業利益は市場予想平均(1400億円強)を下回った。最終的なもうけを示す純利益は株式売却益で14%増の1203億円になったものの、本業の苦戦が際立った格好だ。

業績の足を引っ張ったのは4社の上場子会社だ。日立建機、半導体装置の日立ハイテクノロジーズ、高機能材料の日立金属、スマートフォン材料などの日立化成がいずれも営業減益になった。特に日立金属は自動車や半導体の高機能材料が減少し、利益が7割近く減った。上場子会社は景気の影響を受けやすい事業が多く、これまでの景気回復局面では日立グループの業績に貢献したが、ここに来て減速している。

一方、日立が成長分野と位置づけるIT部門は好調だった。部門別営業利益は15%増の402億円となり、利益率でも8.7%と日立全体(6.1%)を上回った。特にIoT基盤の「ルマーダ」を活用したサービスが伸びた。センサーなどで収集したデータを分析することで顧客の業務を効率化し、対価として手数料を受け取る。世界的に景気の減速懸念がくすぶるなかでも業務の効率化のニーズは大きい。

良い事業と悪い事業がはっきりした今回の決算では、日立が抱える2つの課題が改めて浮き彫りになった。1つは上場子会社の問題だ。日立は構造改革の一環でリーマン・ショック直後に20社程度あった上場子会社を今年3月末で4社まで減らしてきた。建機など残る4社は景気の回復局面ではグループを支えてきたが、景気が減速する現状では足かせになる。

4~6月期決算を発表する日立の西山CFO(29日、都内)

4~6月期決算を発表する日立の西山CFO(29日、都内)

かねて株式市場では「景気の影響を受けやすい上場子会社をいつまで抱えているのか」(国内証券アナリスト)という指摘がある。日立は日立化成を売却する方針を固め、複数の企業と交渉を進めているが、ほかの上場子会社3社についても、売却などの再編を求める声が強まりそうだ。

好調なITも課題はある。日立のIoT基盤は年間の売上高が1兆円を超えるが、実は売り上げの9割を国内で稼いでおり、海外の開拓が進んでいない。IoTでライバルの独シーメンスは火力発電の減速などで18年度の売上高営業利益率(連結)が7%台となり、日立は前年度で8%と肩を並べたが、海外のIoT展開ではシーメンスに出遅れている。

日立はIoTを軸にITサービスへのシフトを明言し、今後の目標には米IBMやアクセンチュアも入ってくる。ただ規模や利益率もまだ開きがある。例えば18年度のIBMとアクセンチュアの売上高営業利益率は15%前後と、日立(8%)を大きく上回る。日立は年度末に利益が出やすい傾向とはいえ、19年4~6月期の営業利益率は前年に比べ0.7ポイント低下しており、10%を目指す企業として勢いに欠ける。

欧米勢を追うため、今後3年間でIT部門に1兆円規模を投じる。M&A(合併・買収)などで「IBMなどに見劣りする」(塩塚啓一副社長)海外人材の確保も急ぐ。

世界を見渡せば、シーメンスやIBMの先には、さらに高い収益性を誇る米アルファベットなど「GAFA」がいる。重電大手として世界で存在感を高めてきた日立だが、IT企業としての様相が強まれば、GAFAと比較される可能性もある。日本を代表する電機メーカーとしてすべきことは尽きない。(野口和弘、志賀優一、花田幸典)

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