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「地元」メジャーVのローリー マキロイとの絆
編集委員 串田孝義

2019/7/31 5:30
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男子ゴルフの全英オープンでメジャー初制覇を果たした32歳、シェーン・ローリー(アイルランド)の世界ランキングは33位から17位へと一気に上がった。それを基に来年の東京五輪ゴルフの出場選手を選ぶ「五輪ランキング」を見てみると、3位で北アイルランド出身のロリー・マキロイ(30)、10位にローリーの2人が現時点でのアイルランド代表候補となっている。

メジャー初制覇を果たしたローリー(中央)は祝福するギャラリーの大歓声に包まれた=AP

メジャー初制覇を果たしたローリー(中央)は祝福するギャラリーの大歓声に包まれた=AP

68年ぶりに英領北アイルランドのロイヤルポートラッシュGCで開かれた今年の全英。優勝候補の本命と目され、地元の期待を一身に担ってコースに出たマキロイはいきなり第1打をOBとするなど初日の1番ホールで「8」をたたいて出遅れ、2日目に巻き返すも予選通過にあと1打届かず、試合からの「退場」を余儀なくされた。

報道によると、傷心のマキロイにローリーはメールを送ったそうだ。「来週、メンフィスで会おう」。全英の翌週の米ツアー、世界選手権シリーズ(WGC)フェデックス・セントジュード招待が開かれる米テネシー州メンフィスでまた頑張ろうぜ、という意味合いか。

■マキロイが託した夢

そこにマキロイは「いや、メンフィスでは会わないだろう。来週、君は(全英の優勝トロフィー)クラレットジャグに注がれた美酒に酔いしれているだろうから」と返事した、と伝えられている。念願の地元開催メジャーの重圧に押しつぶされたマキロイが同じ「地元」の同志として夢を託したのが、2日目で首位タイに立っていたローリーだった。

マキロイは自身が勝つという大望こそ果たせなかったが、次善の夢のシナリオはみごとにかなえられた。「僕は『ホーム』で勝った」。ローリーはみごと優勝を果たし、事前に出場申し込みを済ませていたメンフィスには姿を見せず、欠場。アイルランドの故郷の街に凱旋、お祝い攻めでうれしい悲鳴を上げていることが彼のツイッターからはうかがえる。

2人が再び顔を合わせるのは米ツアーのプレーオフ第1戦、ザ・ノーザントラストの開幕前となりそうだ。「ニューヨークでディナーに行こう。ともに勝利を祝いたい」。マキロイがすでにメールで約束を取り付けているという。

■アイルランドの勝利

68年ぶりの北アイルランド開催は、グレートブリテン島を出て68年ぶりのアイルランド島での全英であり、北アイルランド問題という困難な歴史を抱える土地で、ゴルフではアイルランド一体となった同胞意識が大会を通じて強く伝わってきた。「ローリーはこれから一生ずっと国民的英雄だ」とマキロイは語る。そのマキロイが仮に勝っていたとしても地元ファンは同じように「アイルランドの勝利」としてたたえたことだろう。

マキロイは勝てなかったが、次善の夢のシナリオはかなえられた=AP

マキロイは勝てなかったが、次善の夢のシナリオはかなえられた=AP

ラグビーに似たアイルランド発祥の球技「ゲーリックフットボール」の選手だった父のもと、12歳でゴルフを始めたローリーは2009年の欧州ツアー、アイルランドオープンをアマチュアで優勝し、プロゴルファーへの道を進むことになるが、その前年にロイヤルポートラッシュGCで開かれたアマの北アイルランド選手権を制している。

「ポートラッシュで勝ち、アイルランドのトップアマと目されるようになり、1年もたたぬうちにアイルランドオープンを勝って今の自分がある」。ローリーのゴルフ人生において北アイルランドとの間に「国境」は存在しないように見える。ちなみにアイルランドのスポーツではラグビーもアイルランド代表は北アイルランドを含めた島全体から選抜、編成している。

世界のトップゴルファーを大いに苦しめたロイヤルポートラッシュGCの風。人口1万人にも満たないポートラッシュはのんびり海水浴に興じる家族連れやサーファーがちらほら、のんびりした港町だ。その突端にある岬に立つと、立っていられないほどの猛烈な海からの風にさらされる。おしゃれなカフェや住居の街並みもすべては岬を風よけにして形成されていることがわかる。

同じことがゴルフコースの風についてもいえ、海岸沿いにできた砂丘の山より高いところを吹き抜ける上層の風と、地形の凸凹の影響などを受けながら強弱、方向をくるくると変えて地表をさらう下層の風を意識しておく必要がある。ショットで利用する余地のある風もあれば、もはや手に負えぬとあきらめが肝心のこともあり、リンクス攻略の技術うんぬんより、ストレスを最小限に抑える心のコントロールという点で経験の有無が差になったといえそうだ。

アマチュアの時といい、今回の全英といい、「ポートラッシュに最も愛されたアイリッシュ」と心のどこかで信じることができたこと、それこそが地の利が働いたということなのだろう。

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