20年度成長率1.2% 政府予測、民間大きく上回る
増税後の消費・設備投資で隔たり

2019/7/29 17:20
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内閣府は29日、2020年度の経済成長率を物価の動きを除いた実質で1.2%とする見通しをまとめた。19年度は従来見通しの1.3%から0.9%に下方修正した。いずれも民間の予測平均(0.5%程度)と比べ強気の見通しだ。特に19年10月の消費増税後の個人消費や設備投資など内需の見方を巡り、官民の隔たりが大きい。

経済財政諮問会議であいさつする安倍首相(29日、首相官邸)

経済財政諮問会議であいさつする安倍首相(29日、首相官邸)

29日の経済財政諮問会議で報告した。政府が20年度の見通しを示すのは初めて。内閣府は20年度も雇用・所得環境の改善が続き、個人消費や設備投資が底堅く推移すると見込む。増税による物価上昇も踏まえ、名目成長率は2.0%とした。

19年度の成長率は実質0.9%、名目で1.7%とした。貿易摩擦による中国経済の減速などを受け、19年1月時点の見通しと比べてそれぞれ0.4ポイント、0.7ポイント下方修正した。とりわけ輸出が3.0%増から0.5%増に見直されたことで、全体を下押しした。

それでも一連の見通しは民間エコノミストの予測平均を大きく上回る。日本経済研究センターが集計した民間エコノミストによる経済見通し「ESPフォーキャスト」では、19年度、20年度ともに成長率予想は0.5%程度にとどまる。

官民では内需の見通しで差が大きい。個人消費について、内閣府は19年度は0.9%増、20年度は1.0%増を見込む。民間の予測平均はそれぞれ0.4%増、0.3%増と比較的低い伸びにとどまる。

14年4月の前回増税時は、個人消費が大きく落ち込み、事前の試算と打って変わってマイナス成長に陥った。今回、政府は計2.3兆円規模の商品券やポイント還元など「万全の対策」をアピールしてきた。成長率と個人消費の見通しが民間を大きく上回った背景には、消費が冷え込むシナリオを示すわけにはいかない事情もありそうだ。

ただ、足元で個人消費は既に勢いが鈍る兆しがある。内閣府の消費動向調査で、消費マインドの強さを示す消費者態度指数は6月まで9カ月連続で低下し、前回の増税前より低い水準で推移している。名目賃金は増加傾向にあるものの物価上昇のペースに追いつかず、社会保障負担も拡大して可処分所得が増えていないことが背景にある。

駆け込み需要や反動減をならす平準化対策が一定程度は効いているとみられるが、先行きは楽観できない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮崎浩シニアエコノミストは「消費の基調自体が弱い可能性がある」と話している。

政府・与党は20年度当初予算案に景気下支えのための対策費を盛り込む。同年夏の東京五輪終了後に特需が剥落する公共事業を積み増すほか、消費活性化策も軸とする。マイナンバーカードを利用した人に買い物で使えるポイントを国から付与する施策も盛り込み、消費を活性化する。年内にも19年度補正予算案を中心とした経済対策をまとめる考えだ。

安倍晋三首相は29日の諮問会議で、20年度予算に関して「需要の拡大や成長力の強化などを図る予算としてほしい」と述べた。さらに、景気のリスクが顕在化する場合については「機動的なマクロ経済政策をちゅうちょなく実行していく」と強調した。

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