「全国初」学内酒造を象徴に、北海道3大学が連携加速

2019/7/29 18:00
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上川大雪酒造(北海道上川町)と帯広畜産大学(帯広市)は29日、同大の構内に日本酒の醸造所を建設すると発表した。大学構内に企業が酒蔵を作るのは全国初で、2020年7月にも醸造した日本酒を発売する計画だ。同大は22年4月に小樽商科大、北見工業大との統合を目指す。技術やマーケティングで連携し、統合の象徴となる事業に育てたい考えだ。

両者は29日に帯広市内で記者会見し、19年11月に建設を始めて20年5月に完成、6月から試験醸造を始めるという具体的な計画を明らかにした。来年7月にも直売所での販売や酒販店への卸売りを始める計画だ。

両者は酒や関連商品の製造・販売や教育研究への協力、施設・設備の提供や人材供給などについて19日に基本協定書を結んでいた。日本酒の製造や教育研究事業を手がける新会社「十勝緑丘」(帯広市)を設立。同大の宿舎跡地を賃借して建設する醸造所の敷地面積は、製造棟とセミナー棟を含めて約3700平方メートルという。飲食店やアンテナショップを併設し、醸造工程を学ぶツアーの開催など新たな観光資源としても活用する考えだ。

2017年設立の上川大雪酒造にとって、自前の醸造所は2カ所目。これまでは卸などを通さず、直売所や自社のオンラインショップと特約店との直接取引のみだったが、地元への貢献も見据え十勝地域の酒販店には卸経由で出荷する。醸造する日本酒の種類は今後詰めるが、地域限定酒なども造る予定だ。

新酒蔵では同大の教職員が醸造学などを教え、酒蔵の杜氏(とうじ)らが実践的な教育を担う。上川町の酒蔵創設時に実施して注目を集めた、不特定多数の投資家を募るクラウドファンディングの手法をサイバーエージェント系のマクアケ(東京・渋谷)で実施し、知名度も高めていく。

上川大雪で醸造を担う杜氏の川端慎治氏は「この事業を機に、十勝ならではのこうじができたらおもしろい」と話す。醸造や酵母に関する研究を進め、地域独自の清酒酵母の開発なども目指すという。

同大と小樽商大、北見工大は3年後の運営法人統合に向け、連携を模索している。上川大雪酒造の塚原敏夫社長は小樽商大出身で「3大学統合で、農業から加工など技術を活用し、商品として販売する6次産業化を一気通貫で学べるようになる。統合の象徴となる酒蔵にしたい」と意気込む。

北海道にある12の酒蔵のうち、現在3つの蔵に帯広畜大出身の杜氏がいる。同大の奥田潔学長は「企業と連携することで醸造の研究を活性化でき、実践的な教育が可能になる」と期待する。日本酒の酒造りで活躍する人材の供給源を目指し、北海道の酒蔵と組んでのインターンシップなども検討していく構えだ。

(光井友理)

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