トランプ氏、情報機関を軽視 国家情報長官を交代

2019/7/29 16:27
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領が28日、米情報機関を統括するコーツ国家情報長官の交代を発表した。両氏は北朝鮮やロシアなど、重要な外交問題を巡る認識がことごとく異なり、トランプ氏がかねて不満を漏らしていた。底流には情報機関の独立した分析を軽視するトランプ氏の姿勢があり、今後の政策決定にも影を落としそうだ。

近く退任する見通しが報じられたコーツ米国家情報長官(写真はロイター)

「情報機関はかつてなく強固になり、新たな課題に対応できるようになった」。コーツ氏は28日付の辞表で、8月15日をもって退任する意向をトランプ氏に伝えた。同氏もツイッターで「米国への貢献に謝意を示したい」とたたえた。

表向きは円満な退任に見えるが、内実はそうではない。米メディアによると、コーツ氏がトランプ氏に辞意を伝えたのは先週だったが、かなり前から両氏の確執は修復できないレベルになっていた。最近ではコーツ氏は重要な安全保障政策を巡る意思決定から外され、孤立していたとされる。

両者の意見の違いは公にさらされてきた。北朝鮮の非核化では「大きな進展があった」と成果を誇るトランプ氏に対し、コーツ氏は2019年1月の議会証言で「彼らは核放棄をしそうにない」と指摘した。18年7月、トランプ氏が16年大統領選への介入を否認したロシアに理解を示すような発言をした際は、コーツ氏が「介入は明白だ」と打ち消した。

国家情報長官は米中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)など米情報機関を束ねる閣僚級ポストで、米大統領に機密情報を説明するのが日課だ。その情報は大統領が下す政策決定に重要な役割を果たす。

北朝鮮やロシアに融和的な言動を重ねるトランプ氏は両国の首脳との個人的な関係を重視し、情報機関の分析を軽んじてきたフシがある。FBIが大統領選を巡るロシアとトランプ陣営の共謀疑惑の捜査を始めて以来、トランプ氏は情報機関に対する不信感を募らせてきた面もある。

トランプ氏は後任に共和党のジョン・ラットクリフ下院議員(53)を指名する方針だ。ロシア疑惑の捜査を担ったモラー元特別検察官の24日の議会証言で、トランプ氏を擁護する論陣を張ったことを評価したとされる。トランプ氏はツイートで「この国のために指導力を発揮し、偉大さを鼓舞してくれるだろう」と期待を示した。

州司法長官出身のラットクリフ氏が情報機関トップにふさわしいか疑問の声も出ている。就任には上院の承認が要るが、野党・民主党のシューマー上院院内総務は声明で「機密情報に関する専門性と中立性を要するポストに就かせるのは、大きな過ちだ」と批判した。

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