イラン核合意、米抜き継続へ近く閣僚協議
次官級会合で一致

2019/7/28 20:54 (2019/7/28 22:48更新)
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イランが英タンカーを拿捕(だほ)し、欧州と対立している(7月21日)=ロイター

イランが英タンカーを拿捕(だほ)し、欧州と対立している(7月21日)=ロイター

【ジュネーブ=細川倫太郎】崩壊の危機に直面しているイラン核合意を巡って、英独仏と中国、ロシア、イランが28日、ウィーンで次官級会合を開き、近く閣僚級協議を開くことを決めた。米国抜きでの合意継続を話し合う。会合終了後、イランのアラグチ外務次官が記者団に明らかにした。日程は未定としている。

28日の会合には2015年にイランと核合意を結んだ6カ国のうち、合意から離脱した米を除く全当事国が勢ぞろいした。アラグチ次官によると、次官級会合ではイランの経済的利益を確保するための専門家会議を設けることでも一致した。

ただ米抜きの合意を継続できるか、先行きは一段と不透明になっている。米国の核合意離脱や制裁に抵抗するイランが合意の一部の履行を停止するなか、19日には英船舶を拿捕(だほ)。イランが合意継続へ頼みとしてきた欧州との間でも亀裂を深め始めている。

欧州は米国抜きでも核合意を維持しようとしてきた。しかし、ホルムズ海峡で英タンカーがイランに拿捕され、英国は「国際ルールに反する」と抗議。独仏やEUも「深い懸念」を表明し、イランと溝が生まれている。

英国は22日、ホルムズ海峡で自国の船の安全を守る作戦を欧州諸国と展開する方針を表明した。米国も有志連合の結成を進めているが、英国は欧州独自の護衛案はイランに圧力をかける米戦略の一部ではないと説明している。

これに対し、イランのロウハニ大統領は22日、「イランがペルシャ湾の安全や航行の自由を守り続ける」と語り、英国に緊張を高めないようにけん制した。英国では24日にトランプ米大統領と親密なジョンソン首相が誕生。同首相は就任後、イラン政策について明確な方針をまだ示していない。欧州側の対イラン政策の先行きが読めない一因ともなっている。

15年の核合意はイランが核開発の制限を受け入れる見返りに、米欧が原油取引など制裁を解除する内容だった。しかしトランプ米政権が18年に核合意を離脱し制裁を再発動。米国の制裁強化に対抗する形で、イランはウランの濃縮度を規定を超えて上げるなど、合意は崩壊の危機にある。

イランは米抜きでも核合意を継続させるため、欧州などに、原油輸出や金融決済で米制裁を回避する方法を示すように求めてきた。

欧州はイランへの回答として、6月に「貿易取引支援機関(INSTEX)」の運用を開始した。しかし同機関で取引できるのは衣料品や食料品で、イランは「経済効果が限られている」と主張。9月上旬までに改善がなければ、核合意が定めた核開発制限の義務の履行停止の範囲をさらに広げると予告している。

イランは経済効果の大きい原油取引の再開なども求めているが、欧州側は打開策を用意できていないもようだ。イランが核合意の義務履行の停止を続ければ合意をさらに危ういものにしかねない。英国とイランの対立も重なり、歯止め役が不在のなかで、イランを巡る危機が深まる恐れもある。

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