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パットに努力はいらない ストックトンの教え(中)

 デイブ・ストックトンは並外れたパット力を持ってメジャー5勝を挙げた名手。指導者としても、フィル・ミケルソンらのパット力を向上させ、マスターズ優勝などをもたらした。そんなストックトンの教えは、目から鱗(うろこ)が落ちるほど明快で単純なもの。我々、アマチュアにも大いに役立つ素晴らしいものだ。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.43」から)
ストックトンの教え その4
「ラインをイメージできたら、いつものルーティンで構え、ストロークします」

ボールからカップまでのラインをイメージできたら、どのようにボールに近づき、打てばよいのか。

「それがルーティンです。いつも同じように行い、自分のリズムをつくることが素晴らしいパットを生み出します」

ストックトンのルーティンを教えてもらおう。

「ボールの後方でラインをイメージしたら、2度3度、右手を振って、ボールを転がすイメージを持ちます。こうすると転がりのスピードがイメージできるので、タッチの感覚を持てます」

つまり、仮想ボウリングを行うというわけだ。

「タッチの感覚がつかめたら、ラインを見ながらボールに近づきます。最初に右足、次に左足を置きます。両手でグリップして、パターヘッドをボールの前方に置きます。スタンスを調整して、パターヘッドを持ち上げてボールの後方にセットします。一度だけ、カップまでのラインを再確認し、ボールから15センチ先くらいのライン上のスパットを見ながら、そこを通るようにパットを行います。この間ラインに対する集中力は絶対に切らさないことです」

つまり、ボールの後方でも横でも素振りはしない。ラインへの集中力が途切れてしまうからだ。

「ストロークを開始するとき、私はフォワードプレスを行います。パットは打ち始めるときが難しい。一度手を目標方向に動かすフォワードプレスは、ストロークを開始するきっかけになります。緊張せずにストロークを始められます。フォワードプレスは、バックスイングの一貫だと私は考えていて、特別なものとはとらえていません」

ストックトンはこのルーティンを練習のときから行っている。

「私は2個のボールを使って練習しますが、1球1球、きちんとルーティンを行ってパットします。練習のときからやっておけば習慣となって、本番でも無意識に行うことができ、スムーズなパッティングを可能にしてくれます」

ルーティンで大事なことはラインから目をそらさず、打ち終わるまでラインに集中し続けること。ボールは「打つ」のではなく、「転がす」ことである。

ストックトンの教え その5
「グリップ、スタンス、利き目など、セットアップの基本を知っておきましょう」

ボールからカップまでラインを描けたら、そのラインに乗ってボールが転がればよいわけだが、なかなかうまくできないゴルファーもいるだろう。そんな人にストックトンが教えてくれる。

「フォームやストロークなどにこだわってほしくはないのですが、基本を知っておけば、より楽にパッティングができることもあるかと思います。まずはグリップやスタンスなど、構えに関しての基礎知識です」

ストックトンのパッティンググリップは逆オーバーラッピングだ。

「どんな握り方でもラインに転がすことができればよいのですが、できない人は私と同じ逆オーバーラッピングがよいと思います。左右どちらかに力が入るということがなく、両手のバランスがとてもよいグリップです。普通のグリップだとどうしても右手に力が入りやすいと私は思っています。右手の人さし指を伸ばしてパターグリップに沿わせるのも右手が強くなると思います。逆オーバーラッピングにして、各指を広げてパターグリップ部の全部を覆うようにして、柔らかく握ります。タッチが出しやすいように、指の感覚がパターに伝わるようにするわけです」

次はスタンス。

「これは少しだけオープンスタンスにします。構えたときにイメージしたラインを見やすいからです。スクエアスタンスやクローズスタンスではラインが見えにくいですよね」

そしてボール位置。

「これは利き目の真下に置きます。こうすればラインがゆがんで見えるのを防ぎます。利き目が右目の人は右目真下、左目の人は左目真下です。ボールを利き目から落とせば位置がわかります」

構えの最後は手の位置だ。

「手の位置は低過ぎないこと。ショットとは違い、手と腕に角度が付かないようにします。手を少し持ち上げた感じにし、パターのソール全体を地面にぺたっとつけます。トウを上げたりせず、ライ角通りに構えるわけです。ライ角が自分の構えと合わない人は合う長さのパターに替えましょう。こうして構えができたら、左手甲と右手のひらは目標を向いているはずです」

ストックトンの教え その6
「ストロークは左手甲を目標に動かす。左肩を上げずにフォロースルー」

逆オーバーラッピングでパターを握り、左手の甲を目標に向けて、セットアップが完了したら、ストロークをスタートするわけだが、注意するのはどんなことだろう。

「ストロークは目標に向けた左手甲を、そのまま目標に動かすことです。つまり、パターヘッドの動きは気にしない。インパクトやボールも気にしない。これらを気にするから手がうまく動かなくなってしまうんです。気にするのは自分の左手。左手甲を目標に動かすことだけ。これは誰でも簡単にできるので、スムーズに手を動かすことができるのです」

確かにパターフェースをスクエアに保って正確に打とうとしたら、手が震えてしまうこともある。パターヘッドよりも手を動かすことはアバウトなので、緊張しなくて済む。

「パターヘッドをボールの後ろにセットしたら、ストロークの始動のきっかけとなるフォワードプレスを行い、そのままテークバックして左手甲を目標に向けて動かす。このときに左肩を上げない。つまり、手を持ち上げない。左手をアドレスの高さに保ってフォローを出すことです」

こうすると、フォローでヘッドが上がらない。インパクトの低い位置を保ったままのフォロースルーとなる。

「インパクトからヘッドを上げていくと順回転がかかるという人がいますが、私はヘッドを低い位置に保ったほうが、ボールがフェースに長く乗り、描いたラインにボールを乗せやすい。距離感も方向性もよくなると思っています」

ストックトンのストロークを見ると、フォロースルーだけでなく、テークバックもパターヘッドを持ち上げない。パターヘッドはストローク中、ずっと低い位置を保ち続けている。よって、肩はほとんど回転していない。横回転はもちろん、縦回転もしていない。手を低く動かしている。

「肩の高さを変えないように、正面に誰かに立ってもらい、自分の両肩を上から押さえてもらいます。こうして肩を押さえてもらったままストロークを行います。ヘッドを低く保つストロークができます」

(次回は8月13日に掲載予定。文:本條強、イラスト:サイトウ・トモミ、参考資料:Avery刊「UNCONSCIOUS PUTTING」、青春出版社刊「無意識のパッティング」、golfchannel.com、テーラーメイドゴルフ日本公式チャンネルなど)

 DAVE STOCKTON 1941年11月2日、米カリフォルニア州、サンベルナルディオ生まれ。180センチ、86キロ。南カリフォルニア大学出身、64年プロ転向。米ツアー10勝、米チャンピオンズツアー14勝、他1勝でトータル25勝。メジャーの全米プロ2勝、米シニアオープンなどシニアメジャー3勝。これまでにフィル・ミケルソン、アニカ・ソレンスタム、ヤニ・ツェン、アダム・スコット、ロリー・マキロイ、倉本昌弘ら多くのプロを指導。パッティングに関する悩みを解消させている。デイブ・ジュニア、ロンの息子2人とゴルフスクールを主宰している。
「書斎のゴルフ」公式ホームページはこちら。http://syosainogolf.com/index.html

書斎のゴルフ VOL.43 奇跡を呼ぶ寄せとパット (日経ムック)

出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,404円 (税込み)

ゴルフはフィニッシュからつくる!!ごうだ流スイング完成法 日経プレミアシリーズ

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