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シンガポールの新野党、リー首相の親族重用を批判

【シンガポール=中野貴司】リー・シェンロン首相の弟が支持を表明するシンガポールの新野党「進歩シンガポール党」は26日、3月の政党登録以来、初の記者会見を開いた。代表を務めるタン・チェンボク書記長は「政治の透明性、独立性、説明責任が損なわれている」とリー政権の親族重用を批判した。他の野党と連携し、次期総選挙で憲法改正を阻止できる3分の1超の議席獲得を目指す考えを示した。

26日に記者会見する進歩シンガポール党のタン・チェンボク書記長

タン氏は会見で「リー首相の妻(のホー・チン氏)が政府系ファンド、テマセク・ホールディングスの最高経営責任者(CEO)に就いていることに、多くの人が疑問を持っている」と指摘した。リー首相の父、故リー・クアンユー氏の遺言を巡る問題が2017年に国会で議論されたことにも触れ、「家族の問題に国会が使われるのは間違っている」と批判した。

タン氏の発言は親族重用の事例を取り上げることで、与党・人民行動党の長期政権に不満を持つ非エリート層の支持獲得を狙ったものだ。タン氏は「不平等が拡大し、社会が二極化している」とも語ったが、詳細な政策については「全ての政策を明かすと、与党に手の内がばれる」と発言。2021年4月までに開かれる次の総選挙までに、段階的に政策や候補者を明らかにするとした。

シンガポールは1965年の独立以来、人民行動党が政権を維持してきた。15年の前回総選挙でも全89議席中83議席を人民行動党が獲得した。タン氏は「1つの選挙区で複数の野党候補が競合する事態は避けたい」として、今後他の野党と調整を進める考えを示した。

一方で「率直に言って、次の総選挙で政権交代を実現できるとは思っていない」とも発言した。次の総選挙では人民行動党が3分の2超の議席を握るのを阻止した上で、中長期的に政権交代を目指すと説明した。

タン氏は人民行動党の国会議員として26年間活動した経験がある。人民行動党を離党後、11年の大統領選挙に立候補。与党が実質支持した候補に得票率で0.3%差に迫るなど、知名度は高い。15年の与党の得票率は7割程度で、タン氏が野党勢力の結集に成功すれば、次の総選挙で台風の目となる可能性はある。

ただ、最大野党である労働者党などとの候補者調整は容易ではないとの見方が多い。シンガポール経営大学のユージン・タン准教授は「タン氏個人の人気は依然高いが、野党勢力全体の支持を大きく広げるまでには至らないだろう」と予測する。

リー首相は次の総選挙後に首相を退任する意向を示しており、与党内ではヘン・スイキャット副首相兼財務相が後継者の地位を固めている。リー首相は解散時期を探っており、早ければ年内にも総選挙が実施される可能性がある。

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