広告好転のアルファベット、「敵」はアマゾンと独禁当局

2019/7/26 11:38
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独占禁止法にからむ当局の目は厳しい(米シリコンバレーのグーグル本社)

独占禁止法にからむ当局の目は厳しい(米シリコンバレーのグーグル本社)

【シリコンバレー=中西豊紀】米アルファベットが26日に発表した2019年4~6月期決算は売上高が市場予想を上回る前年同期比19%増となった。広告事業の減速懸念をはね返し、発表を受けた株価は一時8%を超えて上昇した。とはいえ昨年以降、増収率は弱含み気味。さらに独占禁止法にからむ当局の目も厳しい。次の成長に向け課題が積もり始めている。

「第1四半期も第2四半期も、ユーチューブは強い売り上げ成長を維持している」。アナリスト向けの決算会見に出席したルース・ポラット最高財務責任者(CFO)は、動画共有サイトのユーチューブが広告で稼ぐ力を強調した。

アルファベット傘下のグーグルの広告事業は1~3月期の時点で、増収率が前年同期比15%とそれまでの20%台から急減速。有害動画の摘発をユーチューブ上で進めたことで広告が減ったとされていたが、ポラット氏は足元も含めてその指摘は当たらないとした。

実際、4~6月期のグーグルの広告事業は増収率が16%と前の期比で1ポイント増えた。広告収入はアルファベットの売り上げの8割超を支える基幹エンジンだ。わずかな好転ながらも株価は取引時間外で急騰した。

だが、今後もグーグルの広告が盤石かは見えにくい。調査会社の米イーマーケターによると、19年の米デジタル広告市場でのグーグルのシェアは37.2%。トップではあるものの18年比で1%のマイナスが予想されている。代わりに伸びるのは、19年のシェアが8.8%に達する米アマゾン・ドット・コムだ。

同じ日に決算を発表したアマゾンは約30億ドルの広告事業を4~6月期に計上。額はまだ小さいものの伸び率は前年同期比で37%とグーグルを大きく上回った。アマゾンは検索広告の開発部門を本社があるシアトルではなくシリコンバレーに置くなど、人材の獲得でもグーグルを侵食している。

広告収入の落ち込みは、次の競争の切り札とグーグルが位置づける人工知能(AI)の分野にも響く。同部門のトップを務めるジェフ・ディーン氏は「AIはものになるか分からない長期視点の研究が大事」と話す。その原資は検索などを通じた広告ビジネスが生み出している。

ライバルとの競争に加え、今後は政府の存在も無視できない。米司法省は同社を含めたIT(情報技術)大手を反トラスト法(独禁法)違反で調査するとしている。グーグルの検索市場での世界シェアは9割と圧倒的。トランプ大統領は保守派に不利な検索結果を導いているとしてグーグルを折に触れ批判している。

会見で当局への対応について聞かれたグーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、すでに独禁法違反やプライバシー問題で同社に厳しい態度を取っている欧州などを念頭に「新しいことではない」とかわした。とはいえ製品開発や研究の中心拠点がある米国での規制は大きなリスクだ。

クラウドやスマートフォン事業への進出など、これまでもグーグルは広告依存の脱却に向けた手を打ってきた。競合を意識し、そしていまは当局にその競争の是非を指摘される。敵無しの成長を続けてきた結果、ピチャイ氏ら経営陣は解の見えない方程式と向き合わざるを得なくなっている。

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