桐生躍動、骨太さ際立つ(演劇評)
OSK SAKURA REVUE

関西タイムライン
2019/7/26 7:00
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「唯一無二の男役」というキャッチフレーズを冠して、OSK日本歌劇団のトップスターに就任した桐生麻耶。4月に大阪松竹座での「春のおどり」でお披露目を行い、今月には4年ぶりとなる京都南座公演「OSK SAKURA REVUE」でトップ披露を行った。歌劇と今春初演した洋物レビューの2本立てで、桐生新体制の個性が現れ始めた舞台と言える。

スケールの大きい演技を見せた桐生麻耶(左)

スケールの大きい演技を見せた桐生麻耶(左)

「歌劇 海神別荘」(広井王子作・構成、麻咲梨乃演出・振付)は、泉鏡花の幻想美に富む戯曲の歌劇化で、ゲームやアニメで人気を呼んだ「サクラ大戦」のショー作品を練り直しての上演となった。

主人公の公子は、海を支配する若き王。スケール感や骨太さが際立つ桐生だからこその配役だろう。海底の御殿に棲む公子の元へ、陸で見初めた美女(城月れい)が、親に渡した海の財宝と引き換えに嫁いでくる。海の女王となった彼女は、自らの栄華を故郷の人々に見せつけるため、陸へ一度戻りたいと申し出る展開だ。

鏡花の妖美な世界観を、深海をイメージした凝った衣装と装置で表現。明朗な場面も加えつつ、「すべては海へ」など「サクラ大戦」の楽曲や新曲を織り交ぜて紡いでいく。人間の愚かさや浅ましさを炙(あぶ)り出しながら公子と美女の恋愛を映し出す物語。桐生が別世界に生きる公子の器の大きさ、美女への愛と優しさが滲(にじ)む海神を造形し、純粋で温かな持ち味を光らせた。

続いての「STORM of APPLAUSE」(平澤智作・演出・振付)は、「春のおどり」での初演よりも、パワフルさが増した印象だ。やはり桐生のダイナミックな存在感が圧倒的で、二番手の楊琳に男役の色気が備わって来たのも頼もしい。今後も、桐生が主軸ならではの公演を望みたい。13日所見。

(演劇評論家 坂東 亜矢子)

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