2019年9月17日(火)

韓国、北朝鮮飛翔体は新型弾道ミサイル 日本射程内

北朝鮮
2019/7/25 15:38
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【ソウル=恩地洋介】韓国大統領府は25日、北朝鮮が同日発射した飛翔(ひしょう)体は新型の短距離弾道ミサイルとの分析を明らかにした。ミサイルの飛距離は約690キロに達し、韓国全土に加え日本の一部にも到達可能な性能だった。今後の対米交渉をにらみ、米韓両国に8月の合同軍事演習の中止や大幅な縮小に応じるよう揺さぶりをかける思惑が透ける。

北朝鮮が新たに建造した潜水艦。23日付の労働新聞が掲載した=コリアメディア提供・共同

5月9日に北朝鮮が発射した短距離ミサイル。高性能化を進めた可能性も指摘される=朝鮮中央通信

韓国軍合同参謀本部によると北朝鮮は25日午前5時半すぎ、東部の虎島半島付近から短距離ミサイルとみられる2発の飛翔体を日本海に向けて発射した。移動式発射台が使われ高度は約50キロだった。飛行距離は1発目が430キロ、2発目が690キロだった。

北朝鮮は25日午後の時点で今回の発射に言及していないが、最近は8月に予定される米韓軍事演習に反発する姿勢を見せていた。16日に出した北朝鮮外務省報道官の談話は、演習を続けるなら核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を再開する可能性を示唆。米朝首脳が合意した実務者協議の開催見送りも辞さないと警告していた。

タイの政府筋は25日、北朝鮮が8月初旬にバンコクで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムに李容浩(リ・ヨンホ)外相が欠席する意向を通知してきたと明かした。ここでポンペオ米国務長官との会談が開かれる見通しだったが、北朝鮮は対米交渉の開始に応じることすら外交カードに使う強硬姿勢をみせている。

2018年以降、米韓は大規模な合同軍事演習を相次ぎ打ち切った。例年8月に実施していた指揮所演習「乙支フリーダムガーディアン」は、規模と時期を縮小した「同盟演習」に置き換えることになっていた。

それでも金正恩(キム・ジョンウン)委員長が演習の中止にこだわる理由には、対米交渉を優位に運ぶ狙いがありそうだ。韓国国防省で対北朝鮮政策に携わった文聖黙・韓国国家戦略研究院統一戦略センター長は「様々な要求を打ち出し、米国に体制保証などで譲歩を迫る狙いだ」と見る。

米韓が演習を一段と縮小すれば北朝鮮の経済的な実利にもかなう。演習中は米韓の攻撃に備え、多くの兵力を前線に展開せざるを得ない。昨年以降に進んだ軍事緊張の緩和で、指導部は軍の多くの人員を金正恩氏が推進する観光地の建設現場に回している。

日米韓の結束の乱れにつけ込もうとしたとの見方もある。弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会の決議に違反するため、日本は深刻視している。しかし、5月のミサイル発射時、トランプ米大統領は「金委員長が信頼を裏切ったとは思わない」と問題視しない考えを表明。ミサイル射程に収まる韓国は「弾道ミサイル」とすら認定しなかった。

23日にはロシアと中国の軍用機が、米韓連携の縮小や日韓対立の隙を突く格好で島根県の竹島(韓国名・独島)周辺を飛行した。同じ日には朝鮮中央通信が、金正恩氏が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載できるとみられる新造潜水艦を視察する動静を報じた。北朝鮮は日米韓の結束の緩みを勘案し、今後も要求と挑発の水準をエスカレートさせる可能性がある。

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