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スポーツ産業、五輪は飛躍の機会 デジタル・健康が鍵
第5回日経2020フォーラム、みずほFG・坂井社長ら講演

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2019/7/30 5:30
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日経2020フォーラムで講演したみずほFGの坂井辰史社長(右)とアシックスの尾山基会長

日経2020フォーラムで講演したみずほFGの坂井辰史社長(右)とアシックスの尾山基会長

日本経済新聞社は8日、2020年東京五輪・パラリンピックを機に成長する日本のスポーツビジネスを議題に「第5回日経2020フォーラム」を東京・大手町の日経ホールで開いた。みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長とアシックスの尾山基会長最高経営責任者(CEO)が講演したほか、スポーツビジネスの現状や改善策などを巡り活発に意見交換した。

■スポーツツーリズム対応を

みずほフィナンシャルグループ社長 坂井辰史氏

みずほFGの坂井社長

みずほFGの坂井社長

2020年の東京五輪はみずほ総合研究所の試算で28兆5千億円の経済効果があるとみられており、自国の開催自体に大きな意味があります。日本経済はデジタル化など3つのメガトレンドに直面していますが、これらがもたらすチャンスと課題への対応という観点から東京五輪の意義を考えてみたいと思います。

トレンドの1つ目はデジタル化です。デジタル技術はスポーツする人の能力の違いをサポートし、ダイバーシティーを実現するでしょう。仮想現実(VR)を活用した新たな観戦方法も登場します。

金融業界ではキャッシュレス化が大きなテーマとなっています。日本は主要国と比べ、その比率の低さが目立ちますが、裏を返せば拡大余地があるということ。スポーツのチケット購入でキャッシュレス決済が広がることで、娯楽性や利便性がさらに高まります。

2つ目は少子高齢化です。日本では40年に高齢化比率が人口の3分の1を超えるとみられています。ヘルスケアの観点ではスポーツが大きなビジネスチャンスとなりそうです。

ヘルスケアポイント事業が一例です。みずほFGは14年、産官学による健康づくりの実証実験を支援しました。地域の運動教室への参加や、健康診断結果が改善するとその状況に応じ、実験の参加者にポイントが付与されます。参加した自治体では、医療費の抑制も確認しました。

3つ目のトレンドはグローバル化です。政府は訪日客数を20年に4千万人にする目標を掲げており、スポーツイベントの参加や観戦といった「スポーツツーリズム」が極めて有効です。

みずほの東京五輪関連の取り組みも紹介したいと思います。スマートスタジアム構想では、18年には富士通スタジアム川崎で専用アプリを提供し、購買データから利用者の属性別に傾向を分析しました。

先進技術を持つ企業を支援する会員制サービス「エムズサロン」も展開し、会員数は2600社に達しました。会員の中からスポーツ振興や運動機能の向上に取り組む企業が誕生することを目標にしています。

インバウンド需要への対応としては全国の地域金融機関など約70行とQRコードを活用したスマホ決済サービス「Jコインペイ」を展開しています。今後も世界の主要決済プレーヤーとの連携・拡大を見込んでいます。五輪開幕までの1年をグループ一体となり、みずほFGと日本社会全体の飛躍につなげたいと考えています。

坂井辰史(さかい・たつふみ)
1959年石川県生まれ。84年東大法卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。国際、企画業務などを経て16年みずほ証券社長、18年から現職。

■新競技 迅速に挑戦

アシックス会長最高経営責任者 尾山基氏

アシックスの尾山会長CEO

アシックスの尾山会長CEO

安倍政権が2016年に発表した日本再興戦略では「スポーツの成長産業化」が取り上げられ、強化項目の一つになっています。スポーツ市場の規模を15年の5.5兆円から25年に15兆円にする目標です。日本はラグビーワールドカップ(W杯)、20年の東京五輪、21年のワールドマスターズゲームを控え「ゴールデンスポーツイヤーズ」を迎えますが、スポーツ産業の活性化に向けて対応すべき点がいくつかあります。

その一つが「ナイトエコノミー」です。当社の本社がある神戸でもラグビーW杯の試合が開かれます。延べ3万人以上の外国人客が想定され、神戸市が援助金を出して深夜に飲食できる環境作りを進めています。

試合後にラグビーファンが中心街に足を運ぶのは午後10時半ごろでしょうが、その時間帯に飲食店が閉店していてはどうでしょう。試合がある前後や当日にナイトエコノミーを活性化していきたいと思います。

街づくりも重要です。米ロサンゼルスではNBAやNHLのチームの本拠地であるステイプルズ・センターが街の真ん中にあります。一方、日本は街から離れた場所に総合運動場を配置するケースも少なくありません。市街地から歩ける距離にスタジアムがあることが望まれます。

健康とも密接な関係があります。少子高齢化や医療費の高騰などの問題に対しては子供のころからの運動と高齢者向けのサービス双方が大切と考えています。当社は子供に運動を好きになってもらえるよう運動能力測定を実施していますし、機能訓練特化型デイサービスに取り組んでいます。

「つえを持たず歩きたい」といった個人目標に合わせたトレーニングもしています。両側から支えられすり足で歩いていた65歳以上の女性が訓練を終えて独りで歩くようになった例もあります。

デジタル技術の活用も必要です。足形が1.5分ほどでわかり、どう足が動いているかの解析もしています。販売促進にも取り組んでいて、人気格闘ゲーム「ストリートファイター」のキャラクターに弊社のブランド「オニツカタイガー」の靴を履いてもらい実物を販売しました。

最後に新しいスポーツへの対応です。ボルダリングやスケートボード、ブレークダンス(24年パリ五輪で初採用)など都市型スポーツが五輪の正式種目に選ばれました。スポーツ用品メーカーとして追いかけなければ陳腐化してしまう。スピード感を持って新しいスポーツに取り組みます。

尾山基(おやま・もとい)
1951年石川県生まれ。74年大阪市立大商卒、日商岩井(現双日)に入社。82年アシックス入社、08年に社長、18年から現職。
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