スタートアップのみ込む 米巨大IT「FAMGA」

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コラム(テクノロジー)
2019/7/29 2:00
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 シリコンバレーを中心に米国では現在もIT(情報技術)のスタートアップが続々と誕生し、イノベーションの担い手になっている。ただ、近年は一足早く巨大ITとなった企業による「青田買い」が顕著で、革新の芽を摘んでしまっているとの批判の声も強まっている。では、巨大IT企業はどんなスタートアップを買っているのか。多士済々の面々のなかには巨大資本のもとで大きく成長した企業もあれば、輝きを失ったものもいる。

米巨大IT企業「FAMGA(フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、グーグル、アップル)」が過去30年で買収した企業の数は計750社近くに上る。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

5社は豊富な資金力を誇る。買収額が高い案件には、ビジネス向けSNS(交流サイト)大手の米リンクトイン(マイクロソフトが262億ドルで買収)、対話アプリの米ワッツアップ(フェイスブック、220億ドル)、動画投稿サイトの米ユーチューブ(グーグル、17億ドル)といった有名企業が名を連ねる。

もっとも、こうした大型買収が全て成功しているわけではない。マイクロソフトは72億ドルで買収したノキア(のデバイス・サービス部門)の減損処理を迫られ、グーグルは米携帯電話機大手モトローラ・モビリティの獲得に125億ドルを支払った(グーグルによる当時最大の買収だった)が、2年後には4分の1の価格で売却した。

本稿ではCBインサイツのM&A(合併・買収)データを使い、FAMGAによる10億ドル超の買収を全て示したビジュアルタイムラインを作成した。

米巨大IT5社による10億ドル超の買収

米巨大IT5社による10億ドル超の買収

■主なポイント

・10億ドル超の買収件数が最も多いのは、マイクロソフトの10件。

・10億ドル超の買収件数が最も少ないのは、アップルの1件(音楽を定額配信する米ビーツ・エレクトロニクス〈Beats Electronics〉を30億ドルで買収)。

・買収価格が最も高いのは、マイクロソフトが262億ドルで取得したリンクトインだった。2位はフェイスブックによるワッツアップの買収(220億ドル)だった。

・FAMGAによる初の10億ドル超の買収案件は、マイクロソフトが1999年に取得した米ソフトウエア会社ビジオ(Visio Corporation)だった。

・FAMGAによる直近の10億ドル超の買収案件は、グーグルが今年26億ドルで買収したビッグデータ分析プラットフォーム、米ルッカー(Looker)だった。

■企業別の大型買収トップ10

FAMGA各社の大型買収トップ10は以下の通りだ。

<フェイスブック>

1. ワッツアップ(買収額220億ドル、14年)

2. 米オキュラスVR(仮想現実〈VR〉向け端末の開発、20億ドル、14年)

3. 米インスタグラム(写真共有アプリ、10億ドル、12年)

4. 米ライブレイル(LiveRail、動画広告配信、5億ドル、14年)

5. オナボ(Onavo、イスラエルのデータ管理アプリ、2億ドル、13年)

6. フェイス・ドットコム(Face.com、イスラエルの顔認識ソフト開発、1億ドル、12年)

7. レッドキックス(RedKix、イスラエルのビジネスチャットツール、1億ドル、18年)

8. 米パース(Parse、モバイル開発者向けプラットフォーム、8500万ドル、13年)

9. ペブルズ・インターフェイシズ(Pebbles Interfaces、イスラエルのジェスチャー認識技術開発、6000万ドル、15年)

10. 米フレンドフィード(FriendFeed、コンテンツの共有管理サービス、5000万ドル、09年)

<アマゾン>

1. 米ホールフーズ・マーケット(高級スーパー、137億ドル、17年)

2. 米リング(Ring、スマートドアホン、12億ドル、18年)

3. 米ザッポス(靴販売、12億ドル、09年)

4. 米ピルパック(PillPack、処方薬のネット販売、10億ドル、18年)

5. 米ツイッチ・インタラクティブ(Twitch Interactive、ビデオゲームの実況プラットフォーム、9億7000万ドル、14年)

6. 米キバ・システムズ(Kiva Systems、ロボットを使った物流拠点システム、7億7500万ドル、12年)

7. スーク・ドット・コム(Souq.com、アラブ首長国連邦〈UAE〉の電子商取引〈EC〉、5億8000万ドル、17年)

8. 米クイッツイ(Quidsi、ECプラットフォーム、5億ドル、11年)

9. アンナプルナ・ラボ(Annapurna Labs、イスラエルの半導体メーカー、3億7000万ドル、15年)

10. 英ラブフィルム・インターナショナル(LOVEFiLM International、郵送でのDVDレンタル、3億1200万ドル、11年)

<マイクロソフト>

1. リンクトイン(262億ドル、16年)

2. スカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク、85億ドル、11年)

3. 米ギットハブ(Github、ソースコード管理サービス、75億ドル、18年)

4. ノキア(フィンランド)のデバイス・サービス部門(72億ドル、 14年)

5. 米アクアンティブ(aQuantive、ネット広告会社、63億ドル、07年)

6. モージャン(Mojang、スウェーデンのオンラインゲーム開発、25億ドル、14年)

7. 米ビジオ(14億ドル、99年)

8. ナビジョン(Navision、デンマークの中小企業向け会計アプリ、13億ドル、02年)

9. 米ヤマー(Yammer、ビジネス用SNS、12億ドル、12年)

10. ファストサーチ&トランスファ(Fast Search & Transfer、ノルウェーの企業検索向けソフトウエア開発、12億ドル、08年)

<グーグル>

1. モトローラ・モビリティ(125億ドル、12年)

2. 米ネストラボ(Nest Labs、スマートサーモスタット製造、32億ドル、14年)

3. 米ダブルクリック(DoubleClick、ネット広告、31億ドル、07年)

4. ルッカー(26億ドル、19年)

5. ユーチューブ(17億ドル、06年)

6. ウェイズ(Waze、イスラエルのカーナビアプリ、11億ドル、13年)

7. 台湾・宏達国際電子(HTC)のスマートフォン「ピクセル」部門(11億ドル、17年)

8. 米アドモブ(AdMob、モバイル広告、7億5000万ドル、09年)

9. 米ITAソフトウエア(航空関連ソフト、7億ドル、11年)

10. 英ディープマインド・テクノロジーズ(人工知能〈AI〉開発、6億5000万ドル、14年)

<アップル>

1. ビーツ・エレクトロニクス(30億ドル、14年)

2. 英ダイアログ・セミコンダクター(半導体大手、6億ドル、18年)

3. アノビット・テクノロジーズ(イスラエルのフラッシュメモリー向け半導体、5億ドル、11年)

4. 英シャザム・エンターテインメント(Shazam、音楽認識アプリ、4億ドル、17年)

5. 米ネクスト・コンピュータ(4億ドル、96年)

6. プライムセンス(イスラエルの3Dセンサー向け半導体、3億6000万ドル、13年)

7. 米オーセンテック(AuthenTec、指紋認証技術、3億5600万ドル、12年)

8. 米PAセミ(PA Semi、低電力チップの設計、2億7800万ドル、08年)

9. 米クアトロワイヤレス(Quattro Wireless、モバイル広告、2億7500万ドル、10年)

10. C3テクノロジーズ(C3 Technologies、スウェーデンの3Dマッピング技術開発、2億7300万ドル、11年)

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