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降級制度廃止で3歳馬活躍 変わる夏競馬

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2019/7/27 5:30
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この夏、中央競馬に大きな制度改革があった。一定の条件に該当する4歳馬を下のクラスへと異動させる「降級制度」が廃止された。夏競馬が始まって2カ月ほど。廃止に伴う変化はすでに表れ始めている。ほかにも3歳未勝利戦の終了時期も前倒しされた。これらの施策は今後の競馬界にどのような影響を与えるのか。

中央競馬では、力量の近い馬を競わせるため、上からオープン、3勝クラス(2019年5月までは1600万条件)、2勝クラス(同1000万条件)、1勝クラス(同500万条件)、新馬・未勝利の5つにクラス分けしている。

基準となるのは実際にレースで得られる賞金額とは別に設けられた「収得賞金」という指標。例えば、未勝利を勝つと一律400万円が加算され、収得賞金500万円以下の馬が集まる1勝クラスに上がる。1勝クラスを勝つと500万円が加わり、1000万円以下の馬の集まる2勝クラスに昇級する。基本的には1つ勝てばクラスが上がるシステムだ。

18年までは「降級」という複雑なルールが加わっていた。夏競馬が始まる6月の段階で4歳馬のそれまでの収得賞金を半分に減らす決まりがあり、収得賞金が900万円の4歳馬であれば450万円に減らされ、1つクラスが下がっていた。

頭打ちの年長馬からの入れ替え促す

降級は日本の馬資源が乏しかった時代に生まれた制度だ。出走頭数を確保しようと、4歳以上の馬が有利な条件で出走できる仕組みにして、長く現役を続けてもらおうというものだった。1987年までは5歳夏にも降級があったが、現在は競走馬の生産頭数も増え、出走頭数も確保できるようになり、制度維持の必要性は薄れていた。

日本中央競馬会(JRA)も降級にはいくつかの問題があると考えていた。1つは上級クラスのレースの魅力が乏しくなること。オープンや3勝クラスの馬が降級によって減少するため、クラス替え直後の夏競馬やローカル開催では上級クラスのレースを多く設定できなかった。編成しても少頭数のレースも目立った。降級廃止には、上級クラスのレースの増設や、出走頭数増につなげる狙いがあった。

約2カ月がたち、この点での変化はあるのか。夏の福島、中京の開幕(6月末)時点での3歳以上の馬の各クラスの在籍頭数をみると、1勝クラスには18年は2495頭がいたが、降級馬がいなくなった19年は2143頭にまで減った。2勝クラスは850頭が1023頭に、3勝クラスは353頭が443頭に、オープンは434頭が504頭に増えた。最下級条件の頭数が減り、上級条件では頭数が増えている。

在籍頭数の増減に合わせ、各クラスのレース数(3歳以上)にも変動がみられる。6月1日の夏競馬開幕からここまで、19年の1勝クラスのレースは137。在籍頭数減に合わせ、前年同期の154から17減った。頭数の増えた2勝クラスは54から63に増加。3勝クラスは21、重賞を除く平地のオープン競走は11と、前年同期からそれぞれ1つずつレースが増えている。

重賞を除くオープンと3勝クラスの1レースあたりの平均出走頭数も13.5頭と前年同期の13.1頭から増加した。昨年は1つもなかった18頭立てのレースも2つ出現。上級クラスのレースの充実という観点では、降級廃止の効果が一定程度表れているといえそうだ。

ほかにも、同じクラス内にもかかわらず、降級馬とそれ以外の力量差が大きくなりすぎるという問題が指摘されていた。制度廃止で、強い4歳の降級馬がいなくなれば、その他の馬に賞金を獲得する機会が増える。降級馬の代わりに3歳馬が活躍し、出世が早まれば、秋のG1戦線の盛り上がりにもつながるとJRAは期待する。

この点でも効果はあったといえる。例えば7月14日の名鉄杯(オープン、中京ダート1800メートル)。レース前の段階で収得賞金が1900万円だったスマハマ(牡4、栗東・高橋亮厩舎)が勝った。昨年までなら収得賞金が950万円となり、オープンから2勝クラスへと2階級も降級していたはずの馬である。名鉄杯での勝ちっぷりをみると、降級して2、3勝クラスで走れば楽勝するレベルの馬であることは明らか。降級しなかったことで、賞金を獲得できた2、3勝クラスの馬が増えたのは間違いないだろう。

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