米イラン、情報戦激しく スパイ・無人機、すれ違う主張

2019/7/23 17:13
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【ワシントン=永沢毅】米国とイランの情報戦が激しさを増してきた。イランが米国のスパイとして22日に明らかにしたイラン人17人の逮捕を米国は全面的に否定した。双方の無人機撃墜の事実関係でも主張は食い違う。イラン情勢が緊迫の度を増す中で自らに有利な情報を発信し、国内の引き締めや国際世論の支持取り付けにつなげる狙いが透ける。

撃墜されたとみられる米国のドローンの残骸=ロイター

イラン情報省は逮捕したイラン人が、米中央情報局(CIA)に核施設や軍事施設の機密情報を提供しようとしたと説明した。外国の情報機関の当局者と密会するため、容疑者が国境近くの都市を訪れた際に逮捕したという。17人のうち数人は死刑を言い渡されたとしている。

証拠として、CIAの職員だという名刺や写真なども公開し「CIAのスパイ網の壊滅に成功した」と主張した。容疑者が逮捕されたのは2019年3月までの1年間だったという。このタイミングでの発表には、米国との対立が深まる中で国内向けのプロパガンダ(政治宣伝)として反米感情をあおるとともに、国内世論の引き締めを図る狙いがあるとみられる。

ただ、トランプ米大統領は22日、ツイッターへの投稿でイランの発表を「全く真実ではない。完全な偽ニュースだ」と完全に否定。ポンペオ米国務長官もFOXニュースの番組で「イランはウソをついてばかりの歴史だ」と断じた。

両国の主張は18日にトランプ氏が明かした米軍によるイランの無人機撃墜でも食い違っている。米国はイラン側が警告を無視して米艦船に異常接近したとして撃墜の正当性を訴えたが、イランは「全てのイランの無人機は無事に帰還した」とそもそもの事実を認めなかった。

6月20日におきたイラン革命防衛隊による米軍の無人機撃墜も同じだ。米国が領空侵犯したというイランに対し、米側は無人機が公海上を飛行していたとする。5~6月に中東・ホルムズ海峡周辺でおきた計6隻のタンカー攻撃事件では、イランが関与したとする米国の主張をいずれもイランは否定してきた。

双方はそれぞれに有利な主張を展開し、国際世論の支持を得ようとしている。米国はイランの脅威をあおり、対イラン包囲網の構築や中東・ホルムズ海峡での船舶護衛の有志連合で広範な国々の参加を求めたい考えだ。イランは主に欧州諸国の支持に期待し、包囲網の阻止と破綻しつつある核合意の維持をうかがう。

ただ、双方の不信の連鎖は対話の糸口をすぼめつつある。トランプ氏は22日、ホワイトハウスで「率直にいって、イランと取引するのは難しくなりつつある。彼らの振る舞いが悪いからだ」と語った。

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