2019年8月19日(月)

アップル、自前主義に執念 通信半導体買収へ交渉

ネット・IT
北米
2019/7/23 13:05
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アップルの今回の買収交渉には米クアルコムの依存度を下げる狙いがありそうだ

アップルの今回の買収交渉には米クアルコムの依存度を下げる狙いがありそうだ

【シリコンバレー=白石武志、佐藤浩実】米アップルが「iPhone」の基幹部品である通信半導体の内製化に執念をみせている。米メディアは22日、同社が高速通信規格「5G」への対応を断念した米インテルから通信半導体事業を買い取る交渉を進めていると報じた。知的財産や人材を引き継ぎ、この分野をリードする米クアルコムへの依存が続く事態を避ける狙いがありそうだ。

【関連記事】アップル、インテルと通信半導体の買収交渉 米紙報道

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として伝えた。買収額は10億ドル(約1100億円)を超える可能性がある。同紙は交渉は詰めの段階にあり合意は近いとしている。インテルは25日に、アップルは30日にそれぞれ2019年4~6月期決算発表を予定しており、交渉について説明がある可能性がある。

インテルが「モデムチップ」と呼ばれるスマートフォン向け通信半導体の市場に参入したのは11年。出遅れていたスマホ市場の成長を取り込むため、独インフィニオンテクノロジーズから14億ドル(当時のレートで約1200億円)で買収した。

高額なライセンス料を求めるクアルコムへの依存度を下げたかったアップルの思惑と合致し、インテルは16年発売の「iPhone7」からアップル向けの納入を開始。18年発売の「同XS」などの最新機種ではクアルコムを排除し、独占供給にこぎつけていた。ただ、稼ぎ頭のパソコンやサーバー向けのCPU(中央演算処理装置)とは異なり、収益は低迷していた。

スマホ向け通信半導体の市場ではクアルコムが約5割のシェアを握るとみられ、アップル以外の有力な取引先を持たないインテルは上位3社にも入っていない。iPhoneの5G対応を迫られたアップルが19年4月にクアルコムとの法廷闘争で全面和解すると、インテルは即座に5G対応の通信半導体の開発を中止すると表明。ボブ・スワン最高経営責任者(CEO)は「年10億ドルの費用削減になる」と説明していた。

アップルはクアルコムとの和解の中で、同社と最長8年間のライセンス契約を結ぶことなどで合意しており、契約には複数年の通信半導体の供給契約が含まれるとしている。アップルは取引再開によって中韓のスマホメーカーの後じんを拝していたiPhoneの5G対応を急ぐ構えだが、クアルコムの市場支配力は一段と高まることになる。

5Gでは「ミリ波」と呼ばれる高い周波数帯の電波を使うことも想定されており、通信用半導体の開発には現行の「4G」とは異なるノウハウが必要とされる。半導体大手のインテルでさえ断念した5G対応にアップルが成功する保証はないが、開発者らを引き継ぎ自社開発の選択肢を残すことで、将来のクアルコムとの調達交渉を少しでも有利に進める狙いもあるとみられる。

幅広い知的財産を武器に取引先のスマホメーカーに高額なライセンス料を課すクアルコムの手法には批判も多い。独占禁止法の疑いで同社を訴えた米連邦取引委員会(FTC)との係争では19年5月に米サンノゼの連邦地裁が違法性を認める判断を示し、商習慣を見直すよう求めている。

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