21日投開票の参院選滋賀選挙区で前滋賀県知事の嘉田由紀子氏が当選したことは、大戸川ダム計画を進める国土交通省にプレッシャーとなりそうだ。嘉田氏はかねて同ダム計画に反対しており、容認姿勢を打ち出した三日月大造知事やダムの効果を検証する方針の吉村洋文・大阪府知事らを含む調整に同省は神経を使うことになる。
大戸川ダムは2009年に策定された淀川水系河川整備計画で本体工事の着手について「実施時期を検討する」と明記され先送りされたが、10年を経たため同計画は改定時期を迎えている。懸案の桂川の治水対策は未着手事業もあるが、こうした事業も含めて計画に盛り込み、同ダムの本体着工時期を明示する可能性がある。
嘉田氏は滋賀県知事時代からダムに頼らない洪水対策を進め、大戸川ダムは下流の淀川への治水効果は弱いとして建設に反対してきた。一方、国交省は同ダムで水没する道路の代替として「大津信楽線」の建設を滋賀県と共同で進めており、21年度に完成予定だ。
嘉田氏の後継の三日月知事はダム容認に転じたが、脱ダム派議員の誕生は国交省にとって逆風になりそうだ。