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「嫡出推定」見直しを提言 法務省研究会

生まれた子どもの出生届を親が出さず戸籍に記載されない無戸籍者の解消に向け、民法の「嫡出推定」の見直しなどを議論していた法務省の有識者研究会(座長=大村敦志・学習院大教授)は22日までに報告書をまとめた。離婚後300日以内に出産した子どもを元夫の子とみなす規定の見直しや、親子関係否認の訴えを起こせる期間を延ばすことを提言した。

嫡出推定は、女性が婚姻から200日経過後に産んだ子どもは夫の子とし、離婚から300日以内に出産した子は元夫の子とみなす規定。離婚直後に別の男性との間の子どもを出産した場合に、戸籍に元夫の子と記載されることを避けるため出生届を出さない例が相次いでいる。

報告書は離婚後300日以内に生まれた子について、出生時に母親が元夫以外の男性と再婚していた場合などは、元夫の子とみなさないとする見直し案を示した。婚姻から200日経過後に産んだ子どもを夫の子とする規定については、子どもの法的地位を安定させるため、200日以内に誕生した場合も夫の子と推定すべきだとした。

現行法は女性が妊娠中の場合、元夫と現夫の推定期間が重ならないよう離婚後100日間の再婚禁止期間を設けている。新たな案では重複がなくなるため、再婚禁止期間も不要になるとした。

研究会は夫が嫡出推定を否認する訴えを起こせる権利についても議論。現在は提訴できる期間が「子の出生を知ってから1年以内」に限られているが、十分な検討のため少なくとも2年以上とするよう求めた。

提訴する権利を子どもなどに広げることの是非も検討した。「子自身が父子関係を否認したい場合は認めてもいい」との意見が出た一方、「夫が子どもを養育してきた事実があるにもかかわらず、子どもの一方的な意思で関係を覆すのは相当でない」との異論もあった。報告書は「必要性の程度や弊害に留意し、引き続き検討する」との指摘にとどめた。

一方、親権者に必要な範囲で子どもを戒めることを認める民法の「懲戒権」に関する研究会も22日までに報告書をまとめたが、削除や文言の変更など、幅広い見直しの案を提示するにとどめた。懲戒権は「しつけ」を口実とした虐待につながっているとの指摘がある。

嫡出規定の見直しなどは法制審議会に諮問されており、29日に初会合を開く部会で研究会の報告書を参考にしながら議論を進める。

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