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切り込むスピードと得点力 ハンド・徳田新之介(上)

長く世界の高い壁に阻まれた団体球技が、東京五輪で「開催国枠」の恩恵にあずかるケースは少なくない。男子ホッケー(52年ぶり)、男子バスケットボール(44年ぶり)などに加え、32年ぶりに出場する男子ハンドボールもその一つ。強豪相手に何とか爪痕を残そうともがくチームで、得点源として期待されるのが徳田新之介(豊田合成)だ。

徳田は「攻守ともにできるのが理想のハンドボール選手」と語る

身長178センチのサウスポーでポジションはライトバック(RB)。「45度」という別名通り、相手ゴールに対し斜め右のエリアでシュートやラストパスを狙うのが仕事だ。体格は国内のRBと比べても小柄。一定の身体接触が認められるこの競技では異色といえるが、持ち味とする抜群のスピードはむしろ海外勢を相手にすると際立つ。

6月下旬、東京で行われた世界ランク2位のスウェーデンとの親善試合。自分より約20センチ高い相手との間合いを見極め、斜めに走り込んでボールを受け取ると、爆発的なスピードで脇をすり抜けた。速さと角度のあるカットインで置き去りにする真骨頂の動きだ。

別の攻撃の機会では突進すると見せかけ、体を捕まれる間際にくるりと1回転。「ディフェンスが準備する前、いきなりボールが飛んでくる感じ」を生み出せれば勝負あり。「人より腕が少し短い分、早く振れるのかな」と笑うシュートも守備のタイミングを微妙に狂わせるという。緩急自在の攻めでチーム最多の7得点。試合には敗れたものの、確かな存在感を示した。

守備磨きオールラウンダーへ

ユース年代から日の丸をつけ、大学2年でフル代表に初選出。国際試合での活躍が評価され、強豪国ハンガリーのクラブからオファーを受けた。「日本にいたら、大きな相手とプレーできる経験はほとんどない」。迷わず飛び込み、今春までの1年半、屈強な男たちの中でもまれてきた。

今では「大きい選手とやるのは楽しい」と豪語する。ただ、より高いレベルを目指すには攻撃より相手との体格差が影響しやすいとされる守備力の向上が欠かせない。選手交代が自由のこの競技、代表では攻守交代のたびにベンチに引っ込む。流れにも乗りにくく、日本が7戦全敗に終わった1月の世界選手権では「思ったような時間をもらえず、結果を残せなかった」。今季から日本リーグ参戦を決めたのも、代表合宿や体調管理を優先しながら、出場時間を得て守備を磨くためだ。

「攻守ともにできるのが理想のハンドボール選手。身長が低くても当たりの強さ、駆け引きはもっとできるはず」。まだ23歳。オールラウンダーへの挑戦は自慢の攻撃力をいっそう引き立てるだけでなく、日本が「東京後」も世界の舞台に立ち続けるために必要なステップだと心得ている。=敬称略

(鱸正人)

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