英、安保理に書簡「拿捕は国際法違反」 イランを非難

イラン緊迫
2019/7/22 12:26
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【ロンドン=篠崎健太】イラン革命防衛隊が英国の石油タンカーを拿捕(だほ)した事件をめぐり、英政府は22日、英議会でイランへの対応策を表明する。20日付で国連安保理に送った書簡では「国際法に違反する妨害行為だ」とイランを非難し、外交的な解決へ国際社会に協調を呼びかけた。英政府は経済制裁も視野に入れており、イランと欧米の対立は緊迫の度を増す可能性がある。

拿捕した英タンカー付近で警戒するイラン革命防衛隊の船舶(21日、イラン沖)=ロイター

イランは19日、国際的な航行規則に従わなかったとして、中東のホルムズ海峡で英タンカー「ステナ・インペロ」を拿捕した。漁船と衝突したのに呼びかけに応じなかったとも主張し、イラン側にえい航して船員らの取り調べを続けている。

英政府は安保理宛ての書簡で経緯を説明した。まず英タンカーが拿捕された地点はイラン対岸のオマーンの領海内で、国際法に基づく適切な通航中だったと指摘した。警告を無視したり漁船に衝突したりした事実や証拠はないとも強調した。そもそも現場はオマーン領海内でイランに航行を妨げる権利はないとし、拿捕の違法性を訴えた。

英政府は「足元の緊迫は極めて懸念される状況で、緊張緩和が我々の優先事項だ」と強調した。書簡のコピーはグテレス国連事務総長にも送られ「外交手段を通じた解決」へ協力を求めた。

地元メディアによるとメイ英首相は22日、緊急時に関係閣僚らが集まるCOBRA(コブラ)会議を招集し、イラン問題で対応を協議する。同日午後(日本時間深夜)には議会下院で、ハント外相が対策を明らかにする見通しだ。21日付の英紙サンデー・テレグラフは、イラン関連の資産凍結などの経済制裁が盛り込まれる可能性があると伝えている。

英・イラン関係は6月にホルムズ海峡近くで起きたタンカー攻撃事件で、英政府がイラン革命防衛隊の関与を断定してから急速に悪化した。7月4日には英領ジブラルタル沖で、欧州連合(EU)の制裁に違反しているとしてイランのタンカーが拿捕された。英政府は今回の英タンカー拿捕を、ジブラルタル当局による拿捕の報復とみている。

ハモンド財務相は21日の英BBC番組で、英タンカー拿捕は「国際法違反の行為であり、あらゆる外交ルートを通じて解決を目指す」と語った。「全ての選択肢を視野に入れている」とも述べ、経済制裁による圧力も排除しない構えをみせた。

イランに対しては18年に、米国が核合意を一方的に離脱して経済制裁を強めた一方、英国は核合意維持の立場を取ってきた。タンカー拿捕をきっかけに経済制裁に動けば、イランと欧米の亀裂がさらに深まるのは避けられない。18日にはホルムズ海峡で米軍によるイラン無人偵察機の撃墜も起きており、中東情勢の緊迫が強まる可能性がある。

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