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サラリーマンがIOC委員に 「スポーツで世界変える」
国際体操連盟会長・渡辺守成さん(1)

2019/7/29 6:00
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東京五輪まで約1年。開催国出身で唯一の国際オリンピック委員会(IOC)委員として、渡辺守成さん(60)は多忙な日々を送る。本職は国際体操連盟(FIG)の会長だが、東京ではボクシング競技の運営も担う。サラリーマン出身という異色の経歴で、自らの仕事を愚直にこなす。根底には、スポーツで世界を変えるという信念がある。

◇   ◇   ◇

インタビューに答える渡辺守成さん

インタビューに答える渡辺守成さん

IOCが陸上、水泳と並び最上位に位置付ける競技が体操です。私はFIG会長からIOC委員になりましたが、体操選手として目立った実績はありません。イオングループのサラリーマンで、今も在籍しています。オリンピアンや王族、貴族が大勢いる国際スポーツの世界では異色の存在といえます。

体操は他のメジャー競技のようなビジネス化は進んでいませんし、途上国への普及もこれからです。3年前には米国チームで性的虐待事件が発覚し大スキャンダルになりました。体操を世界の多くの人々に楽しんでもらえるように発展させるのが、FIG会長としての仕事です。

IOC委員としては、スポーツを通じて平和な世界を築く五輪の理念の実現に、少しでも貢献したいと考えています。

 幼い頃の夢は医者になること。シュバイツァー博士や野口英世博士のように、アフリカの子供のために貢献する姿を思い描いていた。ところが大学には、思いがけず体操選手として進むことになる。

実家は北九州市小倉で麹(こうじ)の製造販売を営んでいました。祖父が創業者で、私は3代目。繁盛していましたが、母からは「栄枯盛衰が世の常。家業をあてにせず、自ら学んで、人の役に立つことをしなさい」と教えられて育ちました。

医者を目指し、進学校の福岡県立戸畑高校に入学しました。同校の体操部は高校総体で全国3位になったことのある名門で、専用の体育館までありましたが、当時の部員はゼロ。暇だった私は仲間と5人で、その体育館を遊び場にしていました。

それを体操部顧問の中村輝美先生に見つかって怒られ、「体操をやりたかったので」と言い訳したら、5人そろって入部することになりました。中村先生は戦争で中止になった40年東京五輪の日本代表でした。鉄棒の車輪さえできなかった私たちですが、3年の春の県大会で団体3位になるまで上達しました。

体操のかたわら、九州大の医学部を目指して猛勉強もしていました。そんなとき高校から運動部員を対象に、東海大体育学部の推薦入試の案内がありました。ハンバーガーのマクドナルドが東京に上陸したころです。「一緒に食べに行こう」。運動部の悪ガキどもで盛り上がり、上京して受験しました。

後で知ったのですが、東海大では中村先生の後輩で、ローマと東京五輪の体操金メダリストである三栗崇先生が教べんをとっていました。合格したら断れません。マクドナルド目当ての軽い気持ちだったのに、進学先が決まってしまいました。

(編集委員 北川和徳)

 渡辺守成さんの歩みを5回に分けて連載します。
(2)ブルガリアで新体操に感激 「子供の感性育てたい」
(3)「新体操教室開きたい」 企画書片手にジャスコに入社
(4)「一番若いから?」 メダルゼロ体操界、改革託される
(5)北朝鮮で見たスポーツの現場 強くなりたい情熱は同じ

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