「テクノロジーで社会課題を解決」ソフトバンク宮内社長

2019/7/22 14:00
保存
共有
印刷
その他

日経クロステック

「テクノロジーの力で社会課題を解決していく」――。ソフトバンクの宮内謙社長は2019年7月19日、都内で開催中の法人向けイベント「SoftBank World 2019」の2日目の基調講演に登壇し、こうビジョンを掲げた。

ソフトバンクの宮内謙社長(写真:山口健太)

ソフトバンクの宮内謙社長(写真:山口健太)

宮内社長はビジョンに向けた3つのキーテクノロジーとして次世代通信規格「5G」「IoT(モノのインターネット)」「AI(人工知能)」を挙げた。そのうえで、データ活用やMaaS(次世代移動サービス)などの最新事例を紹介した。

ソフトバンクグループが10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」を通して投資する海外企業からは、データを一元管理することで工期の70%短縮を実現した建設系の米カテーラ、AIで査定数を4倍にした中古車取引サイト「Guazi」を運営する中国の車好多集団のほか、フードデリバリーの米ドアダッシュ、カーリースの米フェア、オンデマンド駐車場の米リーフなどを紹介した。

宮内社長はこうした事例の多くが海外企業であることに触れ、「日本は(データ経済の規模を測る)『データGDP』や世界の企業時価総額ランキングで後れを取っている」と指摘。「ソフトバンクに10億円くらい預けてくれれば、リアルとバーチャルを一元的に統合できる。あらゆる企業に、どれかの事例が当てはまるはずだ」と呼びかけた。

■「CDP」によるデータ活用を呼びかけ

顧客1人ひとりのあらゆるデータを収集・管理する「カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)」については、英アーム傘下となった米トレジャーデータの創業者で、現在はアームでIoTサービスグループデータビジネス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務める芳川裕誠氏が登壇、説明した。「ソフトバンク傘下になり成長が加速している」とした。

英アームの芳川裕誠IoTサービスグループデータビジネス担当バイスプレジデント(写真:山口健太)

英アームの芳川裕誠IoTサービスグループデータビジネス担当バイスプレジデント(写真:山口健太)

芳川バイスプレジデントは企業内のデータが部門や地域ごとに「サイロ化」していると指摘し、「データを統合し、顧客理解を深めなければディスラプター(破壊者)が現れて、やられてしまう」と続けた。

トレジャーデータは国内CDP市場で92.3%のシェアを持っているといい、ほとんどエンジニアリングの必要がなく、データを活用できるとした。「これまでデジタルとフィジカルの統合は難しかったが、CDPを使うことで難しかった部分が逆にイノベーションの源泉になる。販売以外に適用範囲を広げることで、ERP(統合基幹業務システム)やSCM(サプライチェーン管理)に匹敵するインパクトがある」(芳川バイスプレジデント)と語った。

■ソフトバンクのMaaSで不動産から「可動産」へ

ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるモネ・テクノロジーズ(東京・港)の取り組みについては、同社の社長兼CEO(最高経営責任者)も務めるソフトバンクの宮川潤一副社長兼CTO(最高技術責任者)が登壇して説明した。モネについて「国内8社の自動車メーカーが資本参加しており、各社の異なるデータを『翻訳』することで、サービサーがコンポーネントとして利用しやすくする」と語った。

ソフトバンクの宮川潤一副社長(写真:山口健太)

ソフトバンクの宮川潤一副社長(写真:山口健太)

企業間の連携では、19年3月に設立した「MONET(モネ)コンソーシアム」を紹介した。7月時点で参加企業は300社を超えたという。「MaaSといえば米ウーバー・テクノロジーズや中国の滴滴出行を想像される人も多いが、人の移動だけでなく需要と供給を移動でつなぐ『目的型MaaS』にも取り組んでいる」(宮川副社長)とした。

事例としてコカ・コーラボトラーズジャパンの「オンデマンド・モバイル自販機」を紹介した。人の流れに合わせて自動販売機そのものが移動し、ドリンクがなくなるとステーションに移動して補充する仕組みを備える。

こうした仕組みをオフィスやコンビニエンスストアに応用することで、「不動産は可動産になる」(宮川副社長)とした。一方で法規制が多く、住所ベースで営業許可を受けると隣の町に移動できない問題や、地方のオンデマンド交通では人数によって料金を変える「ダイナミックプライシング」の必要性、車両のマルチタスク化を阻む省庁の壁などを挙げ、政府や自治体と協調しながら解決していくとした。

ソフトバンク社内の4000人の仕事を定型業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)で置き換え、高付加価値業務にシフトする「デジタルワーカー4000プロジェクト」についても紹介した。問い合わせ対応や登録業務にRPAを導入し、大幅に短縮しているという。

同プロジェクトのリーダーは宮内社長が務めており、「RPAによって自分の仕事が削減されるのではないかと思う人が出てくる。トップが強力に推進しないといけない」と強調した。

(ライター 山口健太)

[日経 xTECH 2019年7月19日掲載]

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]