中国新市場「科創板」が取引開始 ハイテク25社上場

【上海=張勇祥】中国の新しい株式市場「科創板」の取引が22日、上海で始まった。技術革新をけん引する企業の育成を目的に習近平(シー・ジンピン)国家主席の提唱で準備が進み、半導体や車載電池をはじめハイテク関連の25社が上場した。輸入に頼っていた半導体などの国産化を後押しし、米国との対立長期化に備える。
「科創」は科技創新の略で、習氏が2018年11月に上海での講演で開設を表明した。
上場第1陣となる25社には半導体製造装置の中微半導体や、リチウムイオン電池の部材を手がける容百新能源などが名を連ねた。中国が全土で整備を進める高速鉄道、軍需関連の企業も目立つ。習氏が掲げる産業高度化策「中国製造2025」を念頭に、政府主導で選別した企業に資金を流し込み、成長を支える。
すでに科創板には約150社が上場申請を済ませており、企業数はさらに増える見込み。上海社会科学院の周宇主任は「18年に中興通訊(ZTE)が米国の制裁を受けたのを契機に、習指導部は主力技術の国産化を急ぐようになった」と分析する。
個人を含めた中国の投資家の関心は強く、投資信託に相当する「基金」にも多くの資金が流入している。22日は全銘柄が公開価格を大きく上回って取引が始まった。ただ、株価収益率(PER)は公開価格をもとに算出して単純平均で50倍を超え、10倍台の上海株全体に比べ割高感は鮮明だ。「株価が中長期に上昇基調を保てるかは不透明」(地場証券)との声は少なくない。
22日の取引開始の式典には上海市トップの李強・党委書記らが出席した。李氏は習主席の浙江省時代の部下だった。