イラン・英、対立一段と 英、タンカー拿捕は「明白な報復」

イラン緊迫
2019/7/21 22:31 (2019/7/22 1:48更新)
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イランに拿捕されたとみられる英タンカー=AP

イランに拿捕されたとみられる英タンカー=AP

【カイロ=飛田雅則、ロンドン=中島裕介】イランが英タンカーを拿捕(だほ)した事件を受け、両国の対立が一段と深まっている。ハント英外相は20日、英領ジブラルタル当局にタンカーを拿捕されたイランによる「明白な報復だ」と述べ、強く非難した。一方、イラン革命防衛隊は同日、拿捕の際に撮影したとする映像を公開し、正当性を主張した。英国は22日にイランへの対応策を表明する方針で、両国関係に深刻な亀裂が入る恐れもある。

英タンカーの拿捕について、ハント氏とイランのザリフ外相は20日、電話協議した。イランからの報道によると、ザリフ氏は「航行規則に反しており、司法手続きを経る必要がある」と述べ、英タンカーの即時解放に応じない考えを伝えた。

イラン側は拿捕の理由について、英タンカーが国際的な航行規則に従わなかったためと19日に説明していた。だが、イラン当局は20日には英タンカーが漁船と衝突したのに呼びかけに応じなかったためだと主張した。事故の原因究明のため、乗組員への聞き取りを行う方針を示した。

イラン革命防衛隊が国営メディアを通じて公表した映像には、黒い覆面姿で武装した隊員がヘリコプターから英船籍「ステナ・インペロ」に降下する場面が映っている。同隊報道官は英軍がタンカー拿捕を妨害しようとしたとも主張し、対決姿勢を鮮明にした。

英BBC放送などは、革命防衛隊と英海軍がそれぞれタンカーに呼び掛ける緊迫した無線のやりとりを伝えた。イラン側が検査を理由に「直ちに針路を変えろ。従えば安全だ」と伝えた直後、英海軍が「貴船は国際海峡を通過通航している。国際法に基づき、航行は妨害されてはならない」と呼び掛けている。英軍はイラン側に対し「あなたの要求はステナ・インペロの通航を妨害しようとしている」と警告したが、イラン側はタンカーに針路変更を求め続けた。その後、タンカーは拿捕された。

ハント氏は電話協議で「海運の安全について非常に深刻な疑念を生じさせた」と指摘した。同氏は記者団に対し、英タンカーがオマーン領海で拿捕されたとの認識を示し、イランの行為を「明らかに国際ルールに違反する」と批判した。

英政府は20日付で国連安保理に協力を求める書簡を送り「イランとの対決は求めていないが、国際海峡で船舶航行を脅かすことは受け入れられない」と訴えた。

ハント氏は英領ジブラルタル沖で4日、イランのタンカーが欧州連合(EU)の制裁に反しシリアに原油を輸送しようとしたとして拿捕されたことについては、ジブラルタル当局が正当に対処したとの見解を示した。

一方、イランは英側がイランのタンカーを拘束し続けていることに批判を強めている。ザリフ外相はツイッターで「我々の行動は国際的な海洋ルールを守るものだ」と訴えた。21日にはラリジャニ国会議長が「英国が海賊行為をしたので、革命防衛隊が対応した」と語り、イランが報復措置に出たとの認識を示した。

タンカー拿捕を巡る対立に解決の糸口が見えないなか、イランは敵対する米国に加え、英国との関係も急激に悪化させている。

21日付の英紙サンデー・テレグラフは英政府が22日に英議会に説明するイランへの対応策に、資産凍結を含む経済制裁が盛り込まれる可能性があると報じた。米国が主導するホルムズ海峡での民間船舶の安全確保に向けた「有志連合構想」への参加の是非も示される可能性がある。

英国はドイツ、フランスとともに米国抜きでもイラン核合意を維持しようと努めてきた。小規模でもイランへの経済制裁に踏み切れば、大きな方針転換となる。

英政府報道官は20日、自国の船舶に対してホルムズ海峡の航行を当面避けるよう呼びかけた。独仏両政府のほかEUも「深い懸念」を表明し、英タンカーの解放を求めた。核合意の維持を見据えて強硬路線を採らなかった欧州までイランを見限れば、イランの孤立はいっそう深まりかねない。

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