2019年8月21日(水)

黒田日銀総裁「MMT同意せず」 独立性巡る討論会で

2019/7/20 10:17
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【ニューヨーク=宮本岳則】日銀の黒田東彦総裁は19日、ニューヨーク市内で開いた討論会に出席し、財政赤字の拡大を容認する「現代貨幣理論(MMT)」について「全く同意できない」と話した。日銀が金融緩和の一環で進める国債の買い入れ策が政府の財政政策を支え、従属的になっているとの見方に対し「独立性は確立されている。損なわれるリスクもない」と強調した。

討論会に参加した日銀の黒田総裁(19日、ニューヨーク市内)

討論会は中銀リサーチ協会(CEBRA)の年次会合で「中銀の独立性」と題した。黒田氏のほか米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁らが参加した。米国ではトランプ大統領が連邦準備理事会(FRB)に利下げを要求したり、自らに近い人物を理事に指名しようとしたりするなど露骨な政治介入が繰り返され、中銀の独立性が揺らぐとの懸念が生まれている。

MMTでは自国通貨の発行権限を持つ政府は債務不履行に陥るリスクがないとされる。政府と中央銀行を一体化した「統合政府」の考え方をとっており、中銀の独立性を重視していない。提唱者の一人、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は「日本政府と日銀は(量的緩和策を通じて)MMTを実証してきた」とみる。黒田氏の発言はこうした見方に反論したものだ。

中央銀行関係者の間では独立性を軽視する風潮が広がることに危機感が強い。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は4月、トランプ大統領によるFRBへの圧力を念頭に「世界で最も重要な国の中銀の独立性について、とても懸念している」と述べた。人々が経済見通しではなく政治家の意見によって金融政策が決まると考えるようになると、金融市場が不安定になりかねないとの警戒がある。

ボストン地区連銀のローゼングレン総裁も19日の討論会で、中銀が政治から独立し、柔軟に金融政策を変更できる重要性を強調した。さらに「FRBの仕事は株価を上げることではない」と述べた。トランプ氏は「FRBの利上げがなければ、米国株はもっと上昇していた」と再三にわたり不満を表明している。

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