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富士電機、アリペイで挑む自販機未開の地
証券部 野口和弘

2019/7/22 4:30
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営業中は裏側が冷蔵棚として使え、閉店後は表側が自販機になる富士電機の自販機(中国のローソン)

営業中は裏側が冷蔵棚として使え、閉店後は表側が自販機になる富士電機の自販機(中国のローソン)

世界屈指の「自動販売機大国」日本。これまで比較的良好とされてきた治安を背景に、設置台数は約240万台に達する。そのシェアの5割をおさえるのが富士電機だ。産業機器向けパワー半導体の失速で株価は勢いを欠くなか、収益の底上げに向けて中国での自販機事業を本格化する方針を打ち出した。市場の見方はお手並み拝見といったところだが、キャッシュレス化の拡大という追い風が吹いている。軌道に乗れば見直し買いの契機となる可能性もある。

中国・上海のローソン店頭。そこでは営業中は通常の冷蔵棚として機能し、閉店後の夜間には外側が自販機になる富士電機の新型自販機が目を引く。中国では新型機の引き合いが強まっているという。

富士電機はかつて白物家電を生産していた技術を派生させ、1969年から自販機ビジネスを始めた。野ざらしでも動じない耐久性が必要なため、直射日光に近いライトを長時間浴びせたり、シャワーで水浸しにしたり、約200項目の品質検査を経て出荷。国内ではパナソニックサンデンホールディングスといった競合に大きく水をあけている。

近年はセブンイレブン向けのコーヒーマシンが話題を集めるが、自販機業界のガリバーでもある。これらの製品を含む「食品流通部門」が19年3月期の営業利益全体に占める割合は1割だが、景気の影響を受けやすい産業機器や半導体などと違い、控えめながらも安定的に収益を支えてきた。

半面、日本国内の自販機市場はほぼ飽和状態。培ってきた競争力を生かそうと中国市場を狙う。富士電機によると、中国の設置台数は推定30万台程度と人口や国土の割に設置が進んでいなかった。

背景には主に4つの理由がある。1、飲料は店舗や街頭のスタンドで定価以下の価格で買う習慣が根強い。2、日本に比べて紙幣や硬貨の傷みが激しく機械での読み取りの難易度が高いとされる。3、商品の補充などにあたるオペレーター企業が未発達。4、現金が詰まった自販機は襲われやすいとの懸念から設置場所が一部のオフィスや観光地、学校などにとどまる――だ。

富士電機は03年の進出以来、何度か中国で自販機の本格普及を狙ってきたが、これらがネックとなり、目覚ましい成果を上げたとは言いがたい。だが足元での潮目の変化をみて、北沢通宏社長は「大化けする可能性がある」と意気込む。

有力な要因がキャッシュレス決済の急速な普及だ。中国のキャッシュレス比率はおよそ6割と、日本の2割程度を大きく引き離す。冒頭の新型自販機は現地で有力な電子決済サービス「アリペイ」に対応している。

米中貿易戦争で鈍ったとはいえ、中国の経済成長による所得水準向上で、自販機で飲料を定価で買うのをためらわない消費者が増えてきた。中国では人件費上昇もあり無人化店舗への抵抗感も少ない。

富士電機自身も自販機内部の商品在庫を遠隔監視し、効率的な配送ルートなどを算出するオペレーター向け支援システムを18年に開発。治安面は課題がやや残るが、増加傾向にある冒頭の新型自販機のように、店舗と一体的となった立地や無人化店舗の場合は通常の自販機よりはセキュリティーが確保しやすいとみられる。

中国向け自販機を手掛ける大連工場の能力増強にもメドをつけた。自販機事業を統括する高橋康宏執行役員は「中国市場は年率25%以上のペースで成長する可能性がある」と話す。

6月に公表した24年3月期までの5カ年計画で、富士電機は連結営業利益を前期比3割増の800億円とする目標を掲げた。今後の回復を見込む産業機器やパワー半導体がなおけん引役とはいえ、食品流通部門の伸びは約5割と大きく、会社側は上振れを期待する。

株価はパワー半導体などの苦戦や先行き懸念からバブル期以来の高値(4775円)を付けた18年初頭に比べると3割ほど安い水準。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮本武郎氏は「これまで中国での自販機市場が伸び悩んできた印象から、今後の成長性がまだ十分には織り込まれていない」と指摘する。

ただ富士電機は実は中国でも自販機業界で4割のシェアを握る。キャッシュレス化や省力化など社会構造の変化を捉えて自販機市場が中国でも拡大すれば、最も恩恵を受けやすい立ち位置にいる。

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