2019年8月25日(日)

北海道の輸出額が急減、自動車・化学に変調

2019/7/18 19:39
保存
共有
印刷
その他

大手製造業による生産の休止や海外シフトが、北海道の輸出に影を落としている。函館税関が18日発表した北海道外国貿易概況(速報)によると、2019年上半期(1~6月)の輸出額は1510億100万円と前年同期比23%減少した。ホタテ不漁による水産物の不振に加え、自動車部品や化学製品に変調が現れている。

トヨタ北海道は北米向け自動車の変速機を減らした(北海道苫小牧市)

トヨタ北海道は北米向け自動車の変速機を減らした(北海道苫小牧市)

函館税関管内の上半期輸出額を支署別にみると、苫小牧が589億2600万円(同31%減)と道内で首位。室蘭の374億8200万円(同32%減)、千歳の177億3500万円(同1%増)と続いた。苫小牧港や室蘭港では、トヨタ自動車北海道(苫小牧市)や、室蘭に拠点を置くJXTGエネルギーの生産体制見直しの影響が目立ってきた。

苫小牧港や室蘭港、新千歳空港を擁する道央地域は、北海道にとって製造業と海運・空運の心臓部といえる。工業製品の輸出動向を品目別で見ると、自動車部品が数量で同21%減の約1万6201トン、金額で同36%減の166億3300万円と急減している。自動車部品の輸出額減少は9半期連続だ。

トヨタ自動車北海道は海外向け「カローラ」などに使う変速機を製造して、トヨタに供給している。苫小牧市や周辺には関連する部品メーカーも多い。自動車は北米で現地生産への切り替えが進んでおり、苫小牧港からの輸出減を招いている側面がある。

函館税関は、輸出の急減につながった具体的な動きや企業名には言及していないものの、自動車部品の輸出減を「北米への生産シフトが続いている影響」(調査部)と説明しており、こうした見方を裏打ちする。

JXTGエネルギーは19年3月末に室蘭製造所(室蘭市)での石油化学製品の生産を終了。従来は輸入原料からガソリンや灯油、軽油など年間で計500万キロリットルを国内外に出荷してきたが、4月からは物流拠点に転換。JXTG室蘭製造所からの19年度の年間出荷数量は前年度比約7割減る見通しだ。

北海道の上半期製品別輸出額でも、鉱物性タール・粗製薬品が約53億円、有機化合物が約55億円と、ともに前年同期より60%以上減った。JXTGエネによるキシレン、トルエンの製造がなくなったためだ。

産業素材では、紙及び板紙が数量で同22%減の9万6559トン、金額で同19%減の86億1700万円。鉄鋼が数量で同16%減の19万3437トン、金額は203億8200万円と7%減った。

道産の輸出品や道内で使われる輸入品は「首都圏などで通関される分も多い」(函館税関)が、道内の港を経由する物流が低迷すれば、雇用や税収など地元経済への影響も出てくる。

外国企業に米国内での生産を求めるトランプ政権の方針もあり、製造業大手が北海道の生産機能を縮小する動きは今後も続く可能性が高い。苫小牧市や室蘭市など自治体も、企業の動向に合わせた地元港湾での貿易振興策を探っている。

函館税関が同時に発表した1~6月の輸入額は、前年同期比4%減って6633億1200万円だった。「貿易赤字」に相当する輸出額から輸入額を差し引いた額のマイナスは約5123億円(前年同期は4952億円)だった。

(伊藤政光、向野崚)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。