2019年9月19日(木)

ネットフリックス、値上げで狭まる包囲網
会員増加数、4~6月は想定の半分に

2019/7/18 15:27
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ネットフリックスは4~6月期の会員数の伸びが予想を大幅に下回った=ロイター

ネットフリックスは4~6月期の会員数の伸びが予想を大幅に下回った=ロイター

動画配信の雄、米ネットフリックスの「成長神話」に陰りが見え始めた。17日に発表した2019年4~6月期の有料会員数の伸びは270万人と会社予想の半分程度にとどまり、米国では8年ぶりの減少に転じた。失速の主因は視聴料の値上げ。同社はコンテンツが充実する7~9月期には回復を見込むが、米ウォルト・ディズニーなどメディア大手の参入も控えており、高速での成長を続けられるかは不透明だ。

「値上げをした地域で解約率が高まった」。ネットフリックスのスペンス・ニューマン最高財務責任者(CFO)は会員数の伸びが予想していた「500万人」に届かなかった理由を問われ、こう説明した。

世帯普及率が5割を超える米国で1月に13~18%の値上げをした。利用者が最も多い「標準プラン」の場合で月11ドル(約1200円)から13ドルに上げたところ、加入者数を解約者数が13万人近く上回った。米国での会員減は動画配信とDVDのレンタル事業を分離した11年以来だ。

ドイツや中南米といった値上げを実施した他の地域でもおしなべて伸びが鈍ったという。世界全体の会員数は過去2年ほどは四半期ごとに450万~900万人規模で増えていたことを考えると、4~6月期の270万人増という実績は顕著な減速だ。

ネットフリックスはコンテンツ獲得のための予算を年々積み増しており、19年は150億ドルを投じる計画だ。値上げは独自作品への投資を増やし、コンテンツを充実させるために欠かせない。それが消費者に受け入れられなければ、将来の成長に対する懸念が広がる。

外部からのコンテンツ調達にも逆風が吹いているからだ。ネットフリックスに人気ドラマなどのコンテンツを供給してきたメディア企業が自ら動画配信サービスに乗りだし、ネットフリックスの競合に変わる動きが相次いでいる。

「『フレンズ』の全236話を独占配信します」。米AT&T傘下のワーナーメディアは9日、20年春に始める新たな動画配信サービス「HBOマックス」の告知文でこう強調した。若者の友情や恋愛を描いた同ドラマはネットフリックスで試聴時間が2番目に長い人気作品だが、20年にはネットフリックスでは見られなくなる。

同じく動画配信に参入するコムキャスト傘下のNBCユニバーサルも、職場の日常を描いた人気コメディー「ザ・オフィス」のネットフリックスへの配信ライセンスの提供を21年にやめる。

今年11月に動画配信サービス「ディズニープラス」を始めるディズニーはすでに、ネットフリックスから作品を引き揚げ始めている。

ネットフリックスも独自作品に投資を始めて10年以上がたち、メディア大手に引けを取らない有力作品も育っている。7月4日の米国独立記念日に合わせて配信を始めた1980年代が舞台のSFホラー「ストレンジャーシングス3」は、最初の4日間で全8話を見終えたファンが1800万人以上にのぼった。

「重要なのは作品に興奮し、ネットフリックスに加入してもらうこと。そうすれば、友達にも話してくれる」とリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は言う。7~9月期には、4~6月期は手薄だった新作の投入により世界で700万人の有料会員増加を見込む。

RBCキャピタル・マーケッツのマーク・マハニー氏は「来年にかけて本格化する動画配信の戦いで生き残れるのは2~4社だろう」と指摘する。メディア大手やアップル、アマゾン・ドット・コムといったIT(情報技術)の巨人らが包囲網を狭めるなか、ヘイスティングスCEOはいつまで「他社の参入はストリーミングに消費者の関心を振り向かせるという良い点がある」との強気を維持できるだろうか。(シアトル=佐藤浩実)

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