2019年8月21日(水)

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食で世界を制す 体づくりや「リカバリー」探る

2019/7/18 16:30
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東京五輪で日本が目標に掲げる金メダル30個獲得には競技力向上はもちろん、コンディション管理も欠かせぬ要素の一つ。食事による体づくりにとどまらず、大会を通じパフォーマンスを維持するための栄養補給の意識が、選手や支援する企業、国の間で高まっている。

味の素のサポートチームと自宅での献立について打ち合わせする競泳の瀬戸大也(中)と妻の優佳さん(左)=味の素提供

味の素のサポートチームと自宅での献立について打ち合わせする競泳の瀬戸大也(中)と妻の優佳さん(左)=味の素提供

競泳の瀬戸大也(ANA)と妻、優佳さんは2017年の結婚以降、味の素の支援を受けながら日常の食事を工夫してきた。消費エネルギーは1日4000キロカロリーを超え、一般男性の約2倍。それに合わせた栄養素の摂取目標を設けつつ、サポートチームが意識したのが「作る方も食べる方も続けられる献立作り」だ。

栄養面だけを追求すればボリューム優先の味気ないものになりかねず「大事にしている食に対する楽しさ」(優佳さん)も失ってしまう。本人も立ち会い好物のニンニクを多めに使ったり、計画の白米400グラムは食べきれないとみておにぎりにして練習前に食べることにしたり。手間や食材の使い回しも考慮に入れた日替わりの「スペシャルプラン」が完成した。

「スペシャルプラン」の献立を試食する瀬戸大也(右)=味の素提供

「スペシャルプラン」の献立を試食する瀬戸大也(右)=味の素提供

2016年リオデジャネイロ五輪以前は「軽い泳ぎをしたい」と朝食を軽くしてエネルギー不足に陥り、逆に高脂質のラーメンや焼き肉を野放図に食べていたという瀬戸の「意識が変わった」と優佳さん。6月に400メートル個人メドレーで自己ベストを更新、21日から始まる競泳の世界選手権に上り調子で向かう。

03年に日本オリンピック委員会(JOC)と契約を結んだ味の素。リオや平昌五輪でも現地にJOCと共同の支援拠点を設けてきたが、東京五輪に向けては大会中の「リカバリー」に焦点を当てる。リオ五輪序盤に自己ベストを出しながら大会が進むごとに体重が減り、「ばて」に近い状態に陥った選手がいたからだ。

「課題を4年間で潰そうとやってきた」とリーダーの栗原秀文氏。高強度の運動でエネルギー源となる筋グリコーゲンは枯渇すると体重や筋力低下につながるが1度の食事で元に戻らない。社内のスポーツ栄養の研究者の知見も助けに見いだしたのがこまめな補食の重要性。「ちょこちょこ食べ」をキーワードに浸透させ競技ごとに適したタイミングも探ってきた。

「補食を取っていなかった時は頭がぼーっとすることがあった」という空手の植草歩(JAL)も効果を実感する。以前は試合2時間前に食事を取ったきりで何戦もこなしてきた。今はおにぎりなどを欠かさず「世界選手権でも最後まで元気に臨めた」という。

空手組み手女子のエース、植草歩(左)も小まめな補食の効果を実感している。

空手組み手女子のエース、植草歩(左)も小まめな補食の効果を実感している。

10年代にスポーツ栄養の世界的研究者が打ち出して以降「リカバリーの重要性の認識はさらに高まっている」と公認スポーツ栄養士で国立スポーツ科学センター先任研究員の亀井明子氏は話す。センターでは今春、階級制競技向けに体重管理のガイドブックを制作配布し、要望に応じ研修の形でアドバイスも行う。

レスリング選手の協力で筋グリコーゲンなどのコンディションを調べ、減量後に摂取した食事との関係を分析。減量時に適した調理法や食材、リカバリー食についても分かりやすく解説した。

食を通じたベストコンディションの維持は大舞台でのパフォーマンス発揮に欠かせぬ要素。「(サポートする)研究者にとっても競技の日程や特性をつかむ重要性が高まっている」と亀井氏。競技や選手ごとによりきめ細かになってきたサポート体制の総決算は、来年の東京五輪で迎える。(西堀卓司)

 新しい研究分野にアプローチするケースも出てきた。9月の東京五輪代表選考会「グランドチャンピオンシップ」に出場する女子マラソンの岩出玲亜(アンダーアーマー)は昨秋ごろから「腸内細菌」の状態を定期的に調べ、結果を解析会社に依頼して食事の改良に生かしている。
 「悪い菌も少ないけれど、いい菌も少ないということだった」と岩出。腸での栄養素の吸収が比較的低く、食べたほどには「実」になっていない状態だった。以降は善玉菌などを増やし、腸内環境を改善するためキムチやオクラ、ヨーグルトなどをより多く取るよう努めているという。

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