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メイ英首相、「勝者と敗者生む政治」に警告 最後の講演

【ロンドン=中島裕介】「勝者と敗者を生む政治は私たち全員を脅かしている」。24日に退任予定の英国のメイ首相は17日、英王立国際問題研究所で首相としての最後の講演に臨んだ。ポピュリズム(大衆迎合主義)や排外主義的な政治への支持が高まる国際情勢に警鐘を鳴らした。

メイ氏は当初予定の3月末までに欧州連合(EU)離脱を実現できなかった責任を取り、5月下旬に退陣を表明した。24日に現在行われている保守党党首選の勝者へ首相の座を譲ることになっている。

講演でメイ氏は「妥協のない絶対主義」が英国と世界の政治でまん延し、勝者と敗者といった国民の分断につながっていると指摘した。そのうえで気候変動や核不拡散など国際的な課題に関して、政治家は「共通の解決策を見いだすべきだ」と主張。自国第一主義にこだわるべきでないとの見方を示した。

自らの辞任の引き金となったEU離脱に関しても「ある種の妥協が必要になる」との考えを示した。メイ氏は「いざ議会で離脱案を採決しようとすると、政界は離脱か残留かという国民投票前の二分した状態に戻ってしまう」と指摘。「残留派の心配にも対処しながら、離脱を実現するのが最善だと信じている」と語った。

名指しはしていないが、メイ氏の最後の講演にはトランプ米大統領と、次期英首相の最有力候補であるジョンソン前外相へのけん制の狙いもありそうだ。メイ首相や英政府は気候変動の国際的な枠組みやイランの核合意は維持したい立場。これに背くトランプ氏とはもともと見解が合わなかった。ジョンソン氏は党首選で「合意なし」も辞さない構えで10月末の強硬離脱を訴えており、メイ氏は同氏の主張に賛同していないとみられる。

ただ、メイ氏も3月末に離脱延期に追い込まれるまで、自身がEUとまとめた離脱案に固執し、それが政治の混乱の一因となった。一部の英メディアは「今日の言葉を数カ月前のメイ氏から聞きたかった」と皮肉を交えて報じている。

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