2019年8月19日(月)

名古屋で景気討論会 パネリスト4人の発言要旨

2019/7/17 19:32
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日本経済新聞社と日本経済研究センターは17日、名古屋市内で景気討論会を開いた。約380人が来場し、国内外や中部地区の景気動向や米中貿易摩擦、消費増税の影響などについて活発な議論に耳を傾けた。ジェイテクトの安形哲夫社長ら4人のパネリストの発言要旨は以下の通り。

■ジェイテクト社長・安形哲夫氏「省人化投資に期待」

工作機械の受注は(景気の)先行指標になる。工作機械受注総額は2017~18年と伸びたが、今年は前年割れの1兆4千億円程度の攻防とみている。中国経済減速の影響が大きく、足元の5、6月は特に悪くなっている。先行きは予断を許さないというのが現場感覚だ。

安形哲夫 ジェイテクト社長

安形哲夫 ジェイテクト社長

景況感が厳しい中でも、中期的にはITシステム投資は高いレベルが続くとみている。経済産業省が「25年までにシステムを集中的に刷新する必要がある」と提唱するなど、既存システムの刷新が迫られている。

一方で労働人口の減少も課題となっており、日本のみならず中国やタイなどでも労働人口は減る見通しだ。省人化のための自動化投資は短期的に負担は重いが、25年に向けて投資を期待できる。デジタル化や自動車業界で言われている自動運転などの「CASE」対応は、苦しいがやらなければ確実に死が待っており、やらざるを得ないのが経営者の思いだ。

日本銀行名古屋支店長・清水季子氏「米向け車輸出好調」

中部ではスタートアップ育成や災害対応に全国でも先んじて取り組んでおり経済は底堅い状況が続くだろう。特に、全国では苦戦が伝えられていた輸出が好調だ。IT関連材や中国向けの資本財では弱含んだが、米国向けの自動車輸出などが補った。内需が強いのも特徴だ。人手不足が続くなか企業が省人化などの設備投資を増やしている。給与が上昇しており消費も堅調だ。

清水季子 日本銀行名古屋支店長

清水季子 日本銀行名古屋支店長

リスクは海外経済の動向だ。米中の通商政策の動向には気を配る必要がある。一方で米中の経済状態に関しては悪い数字は出ていない。中国の減速は経済構造の変化によるものだ。中国の構造変化をしっかり捉えていくことが重要になるだろう。

今のところは政府によりマクロ政策が打たれているので心配はいらないだろう。

英国の欧州連合(EU)離脱など政治情勢は複雑化している。中小企業は海外情勢に敏感だ。投資マインドが悪化すれば景気の減速要因になる。

■第一生命経済研究所首席エコノミスト・永浜利広氏「冷夏なら消費減退」

2018年10月に景気の山があったと考えており、足元も反転の兆しは薄い。ただ、反転の芽がないわけではない。景気後退要因となった半導体など情報材の在庫調整が進んでいる。今後、米中貿易摩擦がこじれなければ19年後半には反転の兆しがあるとみている。

永浜利広 第一生命経済研究所首席エコノミスト

永浜利広 第一生命経済研究所首席エコノミスト

国内経済に関して警戒しているのが冷夏だ。記録的な冷夏となった1993年には政府の景気判断にも影響を及ぼした。メカニズムとしては、日照時間が1割減ると個人消費は0.6%減る。93年並だとすると個人消費を約1兆円下げる可能性がある。10月には家計の実質的な負担額が2兆円超とされる消費増税も控えている。年後半には生産は戻るが、内需は厳しくなるだろう。

■日本経済研究センター研究顧問・斎藤潤氏「少子化対策、急げ」

政権に求めていきたいのは経済の構造改革だ。現在、少子高齢化が急速に進み、労働人口の減少は避けられない。そうしたなかで潜在成長率を高めるためには4つの方法があると考える。

斎藤潤 日本経済研究センター研究顧問

斎藤潤 日本経済研究センター研究顧問

1つ目は生産性を高めること、2つ目は労働参加率を高めることだ。人口減少下でも成長を続けることができる。3つ目は出生率向上だ。重要な政策だが、効果が出るまでに時間がかかる。4つ目として外国人労働者の受け入れに取り組まなくてはならないだろう。

正規・非正規ともに雇用は堅調で、女性や高齢者などが労働市場に参入している。一方、ボーナスが下落基調にあり賃金全体は下がってきている。消費の先行きは慎重に見ている。

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