2019年8月20日(火)

ダンス、書道…夢追う人に5年限定社員制 タマノイ酢
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2019/7/22 7:00
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業務用酢の営業を担当する金さんは、就業時間外にジャズダンサー(右写真の右)として活躍する

業務用酢の営業を担当する金さんは、就業時間外にジャズダンサー(右写真の右)として活躍する

ダンサーに書道家、教師――。酢の老舗会社タマノイ酢(堺市)には様々な夢を持つ社員がいる。5年間限定で働く「キャリア制社員」だ。残業や休日出勤がないため、安定収入を得ながら空いた時間を次のキャリア形成に充てやすい。就職氷河期に働き先を見つけられなかった学生の受け皿として始めた制度だが、最近では夢を追う若者から人気だ。

■残業なし、時間と収入確保

2017年に入社したキャリア制社員の金沙耶さん(25)はダンサーでもある。業務用酢の営業に加え、心斎橋(大阪市)のスタジオで週2日ジャズダンスのレッスンの講師を引き受ける。ダンス大会に出場したり、バックダンサーとしての業務もこなしたりする。「物心ついた頃からダンスの先生になるのが夢だった」が現実は厳しい。「月4万円の奨学金返済のため安定した収入源を探していた」という金さんには同社の制度は魅力的だった。

採用面接では社風になじめるかや、自律して働けるかなどが問われる。入社後の勤務時間は午前9時~午後6時。時給制で賞与はない。毎年更新の契約社員という位置づけだが基本的に途中の打ち切りはなく、年金や社会保障は正社員と同じ。勤務シフトが固まっているため、収入も見通せる。5年で勤務を終える際、最大100万円の資格取得の支援金を受け取れる。

「若者が育つには社会人経験が絶対に必要だ」。同制度を始めたのは04年。播野勤社長の信念の下、氷河期で就職できなかった若者の働き口をつくり、自己実現につなげてもらうのが目的だ。志があれば期間限定でも熱意を持って働く。そんな人が集まるはずという思いもあった。

「当初は働く気がない社員が目立った」が、いまは制度の知名度上昇や雇用条件の改善もあり「夢を追う熱心な若者が集まる」。04年に4人だったキャリア制社員の数は足元で10~15人となり、新卒全体の4~5割を占めるまでになった。

一定の収入も自由時間も確保できるという夢のような働き方ではある。だが甘えは許されない。入社5年後には原則として退社しなければならない。期限を区切って夢への道筋をたてられるか。覚悟が問われる働き方でもある。

(渡辺夏奈)

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