2019年8月23日(金)

建築誌が誌面制作にAIを活用 多様なデザインに期待

文化往来
2019/7/22 6:00
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建築書を専門に手がける出版社エー・アンド・ユー(東京・千代田)は海外建築の専門誌「a+u」8月号の誌面制作に人工知能(AI)を活用した。出版業界初の試みは、多様なデザインを生み出す可能性を秘めている。

AIが示したいくつかのレイアウト案(左など)をもとに最終案(右)へと練っていった

AIが示したいくつかのレイアウト案(左など)をもとに最終案(右)へと練っていった

全200ページのうちAIを使ったのは10ページ、ポルトガルの建築プロジェクトを紹介するコーナーだ。同誌の横山圭副編集長は「ほかのページと比べても、全体のどこにAIを使ったか分からないように仕上がった」と成果を実感する。

大日本印刷(DNP)が開発した誌面レイアウトを自動生成するAIは過去15年間の同誌バックナンバーを機械学習した。写真・図面の大きさや原稿の順番などを指定し入力すると、AIが複数のデザイン案を提示する。デザイン案には「同誌らしい」レイアウトほど高い点数がつく仕組みで、「写真と文字のバランス」「端のそろい具合」などで順位付けられる。

DNPが開発したAIは全体のバランスや端のそろい具合を重視して左のレイアウトを高く評価した

DNPが開発したAIは全体のバランスや端のそろい具合を重視して左のレイアウトを高く評価した

DNPは制作の負担を減らす目的で開発を進めてきたが、同誌編集部が注目したのはAIが提示する1000に及ぶデザインの多様性だ。DNPがその中から5案を抽出し、それをもとに編集部が議論を深めていく。横山副編集長は「人が出せる案はせいぜい5、6案。AI案をそのまま採用するわけではなく、編集会議で変更を加えていくが、ドラフトの段階で様々な案が示されるのは自動レイアウトの醍醐味」と期待する。

加えて横山氏は「建築家に提案できる案が増え、議論が活発になった」と話す。建築誌は建築家からの要望を受け入れながら誌面を制作する。AIが生成したデザイン案を題材にすることで、編集過程で編集部と建築家の感覚をすり寄せやすくなったという。今後も毎号、10ページ程度の制作にAIを使い、デザインの幅を広げると同時に精度を高めていく考えだ。

同誌には写真の使い方、誌面の組み方に一定のルールがあるという。DNPの開発担当者は「デザインポリシーがはっきりしている雑誌なので取り組みやすかった」と話す。DNPは今後、他分野の雑誌へ応用できるかを見極めていく。誌面を定型化するのではなく、雑誌にあった多様なデザインを探る上でAIは重要な手助けとなりそうだ。(村上由樹)

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