2019年8月23日(金)

リブラ「各国規制に従う」 米公聴会で批判や懸念

フェイスブック
2019/7/17 1:28 (2019/7/17 5:05更新)
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【ワシントン=中西豊紀】米上院銀行委員会は16日、フェイスブックが2020年のサービス開始を計画するデジタル通貨「リブラ」についての公聴会を開いた。出席したフェイスブックの担当幹部は、各国政府と協調し消費者保護や金融システムへの影響に配慮する姿勢を示した。スイス当局がサービスの監督を担うが、米国など他国の規制にも従う意向を示したが、議員からは懸念の声が相次いだ。

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公聴会はリブラを使った金融サービスへの国内の懸念が強まったことを受けて開いた。17日には下院金融サービス委員会でも実施する予定だ。

証言に応じたデビッド・マーカス氏は米決済サービス大手ペイパルの元社長で、14年からフェイスブックに加わり副社長として対話アプリの「メッセンジャー」などの業務にかかわってきた。マーカス氏は、低コストで素早く、安全に海外送金ができるリブラの利点を主張。一方で議員からは規制をどう守るかやフェイスブックを信用できるのかといった質問が相次いだ。

委員会のメンバーのブラウン上院議員は公聴会の冒頭で「フェイスブックは危険だ」と厳しく批判。個人情報保護や選挙介入を巡る不祥事が相次いだ同社が公的な金融サービスに参入することに懐疑的な姿勢を示した。

これに対し、マーカス氏はリブラのサービスを担うのはフェイスブック個社ではなく、クレジットカード大手のビザや配車大手のウーバーなど同社を含めた28社が加入する団体「リブラ連合」だと説明。連合内での各社の議決権は同等であり、リブラの運用で「フェイスブックは支配的な立場にはない」と説明した。

その上でリブラ連合が本社を置くスイス・ジュネーブのスイス連邦金融市場監督機構(FINMA)がサービスを監督するとの見通しを示した。拠点としてスイスを選んだことに関しては、リブラが国際通貨を目指していることから国際機関が多く集まる場所を選んだとし「(米国の)規制や監督を逃れるためではない」と理解を求めた。

フェイスブックには世界で27億人の潜在ユーザーがおり、リブラは世界をまたぐ「デジタル通貨圏」を形成しうる。議員からはマネーロンダリング(資金洗浄)などの不正行為の防止や消費者保護のための措置に関する質問も多く出た。マーカス氏は資金洗浄対策として米財務省の「資金犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)」に登録し、米国や各国の規制にも従うと説明。「各国の当局との議論を続けており、適切な監督の枠組みが整わない限りサービスを開始しない」と強調した。

国家が権限を持つ通貨発行や為替安定の機能を脅かすとの懸念については、リブラ連合として「国家と競合したり、干渉したりする立場にはない」と述べた。金融政策について「リブラ連合が何かをすることはない」として、米連邦準備理事会(FRB)や各国の中央銀行に理解を求めていくとした。

リブラを巡っては15日にムニューシン米財務長官が資金洗浄の観点から懸念を表明。英仏など他の当局からも慎重論が出ている。マーカス氏は規制当局からの理解や承認を重視する考えも示し、目標に掲げる2020年前半のサービス開始にこだわらない姿勢も示した。

リブラを巡っては17~18日にかけてフランスで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも議題に上る見通し。足元の米国だけでなく、世界レベルで国家がフェイスブックが検討するサービスに疑問を投げかける異例の展開となっている。

【もっとよく知る「解読リブラ」】
(1)なぜ発行? 国境ない金融インフラめざす
(2)ビットコインと何が違う? ドルや国債が担保に
(3)誰がどう規制? 国際連携が不可欠に
(4)企業や金融機関への影響は? 当面は限定的か

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