2019年9月18日(水)

金融政策、デジタル通貨で機能失う恐れ IMF報告書

2019/7/17 0:00
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【ワシントン=鳳山太成】国際通貨基金(IMF)は15日、米フェイスブックが発行をめざす「リブラ」などデジタル通貨に関する報告書をまとめた。マネーロンダリング(資金洗浄)など悪用の懸念に加え、中央銀行の金融政策が機能しなくなるリスクも指摘した。約27億人の潜在ユーザーを抱える「超国家通貨」に各国当局も懸念を強めており、主要7カ国(G7)は17日からフランスで開く財務相・中央銀行総裁会議で国際規制のあり方を議論する。

「中央銀行は金融政策の制御を失う可能性がある」。IMFの専門家は報告書で警鐘を鳴らした。特に物価上昇率が高く、当局の影響力が弱い新興国などでデジタル通貨が普及した場合のリスクを取り上げた。

例えば小売業者や家計が手にしたデジタル通貨をインフレで目減りしかねない自国通貨には換金せず、そのまま持ち続ける事態だ。小売業者はモノの価格をデジタル通貨で付けるようになり、中銀が自国通貨の金利を上げ下げする金融政策を実施しても効果が薄れる可能性があるとみる。

デジタル通貨が銀行システムに与える影響に関しても「共存」「補完」「乗っ取り」の3つのケースにわけて分析した。

既存通貨からデジタル通貨への交換が進むと、銀行の預金は減少する。デジタル通貨の発行主体が手にした既存通貨を銀行に再び預金すれば、銀行システム全体で見た預金量は変わらず「共存」や「補完」が可能だ。

だが発行主体が集めた既存通貨を国債などで直接運用するようになれば、銀行が融資削減を迫られるなど信用創造機能が低下し、従来のビジネスモデルが崩れる可能性もある。

銀行システムの機能が低下すれば、政策金利の変更を通じて景気に影響を及ぼす金融政策の効力も薄れかねない。IMFは「乗っ取り」ケースについて「最も可能性が低いシナリオだが、準備しておく価値のある事態だ」と指摘する。

一方、中銀の監督が及ぶようにする仕組みづくりも提案した。デジタル通貨の発行企業に許認可を与える条件として、既存の金融機関と同じように中銀への準備預金を求める制度だ。

フェイスブックはリブラによる金融政策への影響を否定するが、IMFの報告書は「政策担当者は金融業界で起こるいくつかのディスラプション(断絶)に備えなければいけない」と警告した。

各国の規制当局もリブラが法定通貨を発行する中銀の手が及ばない経済圏を形成する可能性もあると懸念を強めている。個人情報保護や資金洗浄対策を含めた国際規制をどうつくるかはG7でも大きな課題となる。

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