ゴールドマン、4~6月は6%減益 市場部門で苦戦

【ニューヨーク=後藤達也】米銀行の金融市場部門の収益が鈍っている。ゴールドマン・サックスが16日発表した4~6月期決算は市場部門の低迷で純利益が6%減った。株式や債券の取引が細り、手数料競争も激化したためだ。JPモルガン・チェースなども市場関連収入は落ち込んだ。長期金利が低下しており、商業銀行部門の収益にも逆風が吹いている。
ゴールドマンの4~6月期の純利益は前年同期比6%減の24億ドル(約2600億円)。債券や株式の売買に伴う収入が34億ドルと同3%減った。M&A(合併・買収)の助言など投資銀行部門の収入も落ち込んでいる。
JPモルガン・チェースが同日発表した4~6月期決算は純利益が96億ドルと前年同期より16%増え、過去最高を更新した。クレジットカード関連など個人向けが好調だったほか、税控除が利益を押し上げた。だが市場関連の収入は一時要因を除くと6%減り、ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「世界経済や地政学的な不確実性が高まり、証券取引が少し減った」と述べた。
シティグループも4~6月期の株式関連の収入が前年同期より9%減った。債券関連の収入も一時要因を除くと4%減少。マーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は「特に金利取引が厳しい環境だった」と語る。
4~6月は期末にかけて米株価が上昇し、ダウ工業株30種平均が10%近く上昇したが、値動きの少ない日も多く、取引量は全体として低迷した。電子取引など手数料が比較的少ない取引も増えた。ファクトセットが集計するアナリスト予想では米銀大手6社の19年のトレーディング収入は18年より9%落ち込む。
好調だった商業銀行部門も収益環境は悪化しつつある。米利下げ観測が強まり、利ざやが圧迫される恐れが大きくなっている。シティのマイケル・コルバットCEOは「金利は予期せぬかたちで上昇から低下へと転換し、いま大きな試練になっている」と述べた。