大阪 食のテーマパークに 岩井コスモ証券会長兼CEO 沖津嘉昭さん
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2019/7/17 7:01
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■岩井コスモ証券で会長兼最高経営責任者(CEO)を務める沖津嘉昭さん(78)。本社を置く証券会社の減少などが続き、大阪の証券業界は存在感が薄れる一方だ。存在感を高めるためには、まず大阪を人の集まる都市にすることが大切と説く。

 おきつ・よしあき 1941年大阪府生まれ。73年に同志社大大学院修了。岩井証券(現岩井コスモホールディングス)には84年に入社。95年に岩井証券の社長に就任し、コスモ証券との合併などに尽力。2016年より現職。

おきつ・よしあき 1941年大阪府生まれ。73年に同志社大大学院修了。岩井証券(現岩井コスモホールディングス)には84年に入社。95年に岩井証券の社長に就任し、コスモ証券との合併などに尽力。2016年より現職。

昔から好奇心が旺盛だった。自転車の補助輪が取れないような頃から「あの道を曲がった先にはどんな街並みが待っているのか」とあちこちを走り回っていた。帰宅が遅れ、両親に怒られたこともあった。それが高じて死ぬまでに地球上を全部見てみたいとの思いで世界中を旅してきた。

海外を一人で歩いて気がついたのは海外の観光地のアピール力の高さだ。南フランスのアビニョンや英中部のチェスターといった城壁で囲まれた中世の雰囲気を残した都市は街全体がテーマパークのようだ。それが観光客の誘致につながっている。人を集めるコンセプトで街づくりをしている点は、大阪の未来を考える上で参考になる。

好奇心が高じて、世界中を旅して回った。南フランスのアビニョンにて。

好奇心が高じて、世界中を旅して回った。南フランスのアビニョンにて。

■大阪はインバウンド(訪日外国人)で空前のにぎわいをみせる。ここからさらに発展するには、意識の転換が必要だ。

大阪でも大阪城といった観光資源になるハードはいっぱいある。ただ昔は大阪城に行ってもガランとして観光客も少なかった。今では行政と大和ハウス工業などの民間企業が一体となり、新施設やイベントを通じて活気が満ちてきた。こうした民間の力を活用する流れを途切らせないことが大事だ。

新しい発想も大切にしていきたい。大阪市は御堂筋の側道を2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)までに歩行者道にする計画を持つ。実現すれば「世界に冠たる一大メインストリート」となる可能性を秘める。難波から中之島まで散歩やデートを楽しめる。大阪に来る観光客の増加につながるだろう。

万博やカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致では、これまでの意識を変える必要がある。万博やIRで人を呼ぶのではなく、他にも楽しいことがある大阪の街で「ついで」に万博やIRも楽しんでもらう心構えが大切だ。特に大阪といえば「食いだおれ」の街。大阪では食をテーマに、街全体をテーマパークにできるのではないか。例えば、訪日客がたこ焼きなどを自分で作って食べる経験を楽しめるような施設はもっとあってもいい。

■街に人が集まれば証券業も盛り上がる。証券業界から大阪に活気を呼び込む「創意工夫」を提案していく。

観光客の増加は街の活気につながり、住民も増加するはずだ。大阪の証券会社は高齢者を中心とした個人投資家の減少によって淘汰が進んできた。住民が増えてパイ自体が大きくなれば、証券会社にも再びチャンスが出てくるだろう。

大阪では総合取引所が誕生する予定だ。そうなると「デリバティブ発祥の地・大阪」で取引所主催のセミナーや会合も開かれるだろう。大阪の街自体に魅力があれば、全世界から人が集まり、総合取引所も盛り上がる。大阪が金融センターとして存在感を高めるために、取引所を中心に証券会社などが力を合わせて努力していきたい。

岩井コスモ証券は、規模で約3分の1の旧岩井証券が旧コスモ証券を買収して誕生した。一時、買収交渉の決裂が報じられるなど一筋縄ではなかった。旧岩井証券では証券業界でいち早くコールセンター取引などを導入して収益を伸ばしてきた歴史があり、もとから「創意工夫」が得意な会社だ。大阪を魅力ある街にするために万博はもちろん、他の「工夫」を提供していきたい。

(聞き手は金岡弘記)

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