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競技盛り上げる努力に共感 大きな力もらう

東京五輪を来年に控え、先日の陸上日本選手権(福岡・博多の森陸上競技場)は盛り上がった。6月に9秒97の日本記録を出し、男子100メートル、200メートルを制覇したサニブラウン・ハキーム選手、女子100メートルでは29年ぶりに高校生の御家瀬緑選手が優勝するなど短距離種目にとりわけ大きな注目が集まったようだ。

日本ではどちらかというと、箱根駅伝や東京五輪マラソン代表選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)」といった長距離種目のメディアの露出が多いので、そうやって短距離も注目されることは五輪に向かう陸上界にとって望ましいことだろう。

私も大学時代に箱根駅伝を目指していたが、短距離やフィールド種目の選手から長距離陣はうらやましがられてきた。というのも長距離は春から夏はトラック種目で、秋から冬はロードの駅伝と年間を通して活躍する場があり、メディアの露出も大きい。そして卒業して社会人になっても実業団や市民ランナーとして多方面で活躍できる。

地道にこつこつと走るのが陸上の練習だ(鎌倉の浜辺での冬季トレーニング)

はたして今回の主役となったサニブラウン選手は、走りもさることながら、インタビューの受け答えも印象に残った。そのひょうひょうとした発言、言葉の端々からさらに高い世界を目指しているのだ、という強い意志がうかがえた。彼は高校時代から頭角を現し、その進路と動向が注目されてはいたけれど、大学から本格的に渡米し今年一気に花が開いたといえる。

短期間だが私もレベルアップのために海外へ武者修行に出たことがある。言葉の壁、生活習慣や文化の違いなど、何事においても自分からアクションを起こさないと誰も何も教えてくれない。だからこそ自分はこの世界で絶対に成功してみせると心に誓った。

これは国内にいては到底わき出ることのなかった決意。もちろん、彼の活躍は陸上競技の本場アメリカの専門性の高いコーチングのたまものだろう。だがきっと渡米で覚悟を固めたことが大躍進の布石となったのではないだろうか。

もう一人注目したのは男子棒高跳びで準優勝した沢野大地選手だ。五輪、世界選手権など国際舞台で数々の輝かしい戦歴を誇り、38歳になる現在までこの競技の期待を一身に受けてきた。2位だった今回、競技途中で優勝争いをしていたライバル選手が見事な試技を見せると、笑みを浮かべ素直に拍手を送っていた。沢野選手が自身で指導している選手だそう。とはいえこのような態度を競技中にとることは難しいものだ。見ていて非常にすがすがしい気持ちになった。

トラック種目に比べフィールド種目はその競技性ゆえに誰でも手軽にできるものではない。だが沢野選手の競技を盛り上げていこうとする熱い姿勢に、トレイルランという新興のマイナー競技に携わる私も共感を覚える部分が多く、親近感を抱き、さらにいえば大きな力をいただいた気がする。

大げさでなく地球上、世界じゅうから選手が集まる陸上競技は選手層がとにかく厚く、シビアな言い方をすれば、日本選手は東京五輪でも苦戦必至。少しでもその差を詰めて力を出し切り輝く姿が見られることを心から願っている。

(プロトレイルランナー)

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