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浴衣で観戦、防災にふろしき 学生が五輪で変える東京
津田塾大・芝浦工大

2019/7/20 5:40
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2020年東京五輪・パラリンピックが1年後に迫り、東京が抱える課題について大学生が活発に動いている。新国立競技場に近い千駄ケ谷キャンパス(東京・渋谷)で学ぶ津田塾大学の学生は地域の活性化を買って出た。芝浦工業大学の学生は訪日客らでにぎわう東京スカイツリーの近隣の防災対策を自主的に進めている。

浴衣姿で東京大会を観戦しませんか――。津田塾大の学生グループは来夏、競技を観戦する訪日外国人らに、こんな呼びかけをする計画だ。千駄ヶ谷キャンパスは開閉会式や陸上競技などが予定される新国立競技場から近く、卓球の競技会場となる東京体育館は隣にある。「会場に近い立地を生かして、無料で着付けサービスをする」。総合政策学部3年生の安河内彩乃さんは浴衣を着て競技を観戦できるようにすれば、外国人が大会を楽しみながら、日本の文化も体感できると考え、計画を練る。

すでに津田塾OGらの協力を得て、貸し出す浴衣を集めたほか、都内の老舗呉服店と浴衣の販売方法を検討中だ。着付けの練習に加え、外国人に英語で浴衣の説明をしながら、日本の文化を伝える準備に余念がない。

このほか得意の英語力を生かして、訪日客の受け入れに戸惑う地元への支援も行っている。近隣の駅に掲示する英語マップをつくったり、地元の飲食店のための英訳メニューを作成したりしている。競技観戦に訪れた訪日客が遺失物を探せるようにする英語のチャットボット(自動対話システム)も開発中。来夏の東京大会が近づき、「千駄ケ谷の地域のブランド力を強化する」(学生代表を務める3年生の増野晶子さん)活動が本格化している。

津田塾大は東京大会を盛り上げながら、地域の活性化をサポートする「梅五輪プロジェクト」を17年にスタートさせた。大学の創立者、津田梅子にちなんだプロジェクト名だ。「訪日外国人に日本文化の楽しみ方を発信する」活動はプロジェクトの柱のひとつ。浴衣のほか、お茶、将棋、浮世絵、能楽などをテーマにしたワーキンググループが立ち上がっている。プロジェクトを監修している総合政策学部の曽根原登教授は「学生たちはアイデアを実践し、成果を世の中に出そうと燃えている」と目を細める。

増加する訪日客も含めた防災対策に取り組むのは芝浦工大だ。システム理工学部の学生が中心となって「すみだの‘巣'づくりプロジェクト」を活動中。東京都墨田区の木造建築の密集地域を災害から守るという課題と向き合っている。

地元のNPO法人と組み、「防災観光ふろしき」と呼ぶ防災グッズを製作し、これを使った防災意識の啓発活動を展開する。紙の災害マップは劣化して捨てられてしまう場合も多かったが、「ふろしきに防災マップを載せたらどうかというアイデアから始まった」(プロジェクト代表を務める3年生の須野原拓海さん)ものだ。

「ふろしきには日本人の知恵が詰まっていて、防災に使えるのも、その知恵があるからだ」。6月下旬、NPOや学生のメンバーは、ふろしきの研究家、つつみ純子氏を招いた「ふろしき講座」を開いた。はっ水加工を施したタイプは荷物を包む代わりに水をためておくこともできるため、災害時の消火活動などでは、ふろしきを使ったバケツリレーもできるという。

ふろしき講座から得た知識をもとに、近く地元の小学生向けのワークショップを開く計画だ。4年生の渡部雄貴さんは「子供に避難時に持って行くものをかばんに入れてもらうゲームを考えている」と話す。観光スポットの東京スカイツリーを擁する墨田区は訪日客も多い地域。メンバーには「東京大会をきっかけに、ふろしきの魅力を世界に広めていきたい」(副代表を務める3年生の石井若奈さん)との思いも強い。

こうした活動に対し、NPO燃えない壊れないまち・すみだ支援隊の大鋸幸絵さんは「町内会は高齢化しているが、学生に入ってもらうことで、防災観光ふろしきの使い方を広く知ってもらうことができる」と期待する。

増加が続く訪日客をどう迎え入れるのか。東京大会は東京が抱える課題を強く意識させる機会にもなっている。学生たちは自由な発想と行動力で課題解決の方策を探っている。

(山根昭)

日経からのお知らせ 日本経済新聞社は7月23日にシンポジウム「池上彰と考える2020年の東京」を東京都内で開催しました。ジャーナリストの池上彰氏と津田塾大、芝浦工業大の学生が東京の未来について考えました。シンポジウムの内容は動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で視聴できます。

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