パパの絵本、世界へ発信 日航機墜落事故の遺族

2019/7/16 11:24
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1985年の日航ジャンボ機墜落事故で夫を亡くした大阪府箕面市の谷口真知子さん(71)が、事故後の家族を題材に描いた絵本「パパの柿の木」の英訳を地元の高校生と進めている。「事故で多くの人が亡くなり、まだ苦しんでいる家族がいることを世界の人に知ってほしい」。来年以降米国での出版を目指す。

高校生の質問に答える谷口真知子さん(6月26日、大阪府箕面市)=共同

「どんなに苦しいときも、パパが柿の木から見守ってくれるというイメージで描きました」。6月下旬、箕面市の関西学院千里国際高等部で、谷口さんは高1と高3の生徒7人に語り掛けた。真剣なまなざしで聞いていた奥村茉那さん(17)は、「突然大切な人を亡くす気持ちを初めて知った」と涙ぐんだ。

谷口さんが絵本を出版したのは2016年。子煩悩な夫の正勝さん(当時40)が事故前に自宅の庭に植えた柿の木の成長を通じ、当時13歳と9歳だった息子が長い時間をかけて悲しみから立ち直る姿を描いた。

絵本は反響を呼び、小学校や幼稚園で読み聞かせをするように。事故機が米ボーイング製だったこともあり、英訳して海外で出版したいと考えていた。そこに、昨年道徳の授業に招かれた千里国際中等部の井藤真由美校長が「高等部の翻訳の授業で、教材として使いたい」と申し出た。

絵本のテーマ曲として歌手の北川たつやさん(34)と18年に作った歌「茜空」と合わせ、今年4月から週3回、翻訳に取り組む。時折顔を出す谷口さんと北川さんに「アメリカで柿はあまり知られていないと思う。読者にわかるか」「(歌の歌詞にある)『いつもと変わらぬ朝』とはどんな場面か」と質問しながら、慎重に訳していく。

参加する上原礼さん(17)は「事故は初めて知った。人が1人いなくなることがどれだけ大きいことか、絵本を通じて伝えたい」と意気込んだ。

11月末までに完成させ、来年8月12日の慰霊登山までに米国で出版する考えだ。谷口さんは「事故を身近に感じ、若い感性で真剣に訳してくれてうれしい。世界中の飛行機に関わる人に読んでほしい」と語った。

〔共同〕

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